2023年09月04日
脳波加工モニターの疑問
試験のためだけに、受験勉強式の知識の習得をしただけ。私だけかも。もちろん真面目に学問として享受されていた方もいる。最近では学会のリフレッシャコースで簡単におさらいするだけ。脳波についてもそのものを見ず、BIS値やPSI値を見ているのみ。せいぜいSEFを見るくらいか?生の脳波には非常に多くの情報があり、絶えず変化しているのに。DSAの変化についても詳しく見ると、非常に面白い情報がある。脳波は電流なので、パワーが指標になるが、複雑な大脳皮質の解剖、電気生理学的特徴を考えるとそれでよいのか。振幅だけで良いのか、振幅は積算なので頻度も関与するが頻度そのものを考慮しなくてもよいのか?麻酔管理中に起こっている周波数の変化をどう考えるのか(例えばα波は睡眠時のphaseにより周波数が変わったと思う)?脳波は筋電図波が入ると解析しにくいといわれるが、on time での脳波からの筋電図波をキャンセルできない。しかし同時に正確な筋電図を記録し、delayで記録時の脳波から綿密にキャンセルできれば、遅れはするが解析に耐えうるものがつくれるのではないか?
まだまだ疑問はある。表面脳波は本当に皮質の電気活動のみしか反映されていないのか?減衰を考えると深部脳波は表面に到達しないと考えられるが、脳幹、視床は電気抵抗の少ない伝導路で皮質とつながっている。もちろん皮質内もそうだろう。ここを心筋内のように伝導することはないのか?電流源推定法が進めば、地震の震源のように放出部位を確認でき、局所の脳波を得ることができるようにならないか。
このような疑問の基礎的な部分は、工学的な知識が必要である。医学部の中には少ないので、やはり工学系の専門家の先生とのリエゾンが必要なのだろう。
京都市内は都市化が進み、もう昆虫が悠々と暮らせる場所は山合しかないのかと思っていたが、まだまだ捨てたものではない。医療センターのそばでも、深山が語源といわれるミヤマがいる。この暑い中どこにいたのか?
平田 学
2023年06月10日
みなづき
マクロファージとBセルについてばかな自問があります。そもそもマクロファージが
TLRを用いてPampsを認識できる確率は何%なのか?100%ではないように思います。もしあれば自然免疫だけで事足るはず。ここをすり抜けて液性免疫の活躍場面となったときBセルはどうか?
Bセルは6μmの直径とのこと。となると半径3μmこれは3000nm。
表面積は10800万nm2。抗体の表面積は150nm2。きっちきちに詰めたら、Bセルの上に
乗っけられる抗体は96万個。もちろんモノクローナルではないはずで、カバーできるのは
24万種抗原以上となるが、ほぼ無数にある抗原をカバーできるのだろうか。日々私達が触れている抗原数は無数のはず。
免疫細胞の中には、なんとなく悪者、あるいはなんとなく身内といい加減な吟味細胞があって、なんとなく悪者と感じたら、リンパ組織に連れて行き、そこで中枢に蓄積されたクラウド情報を下ろして照合するのであれば、私なりに合点がいくのですが?私みたいに優柔不断。
天下一武道会で、すべてのライバルに勝つために剣道の面もヌンチャクもなぎなたも持っていたら重くて戦えないですよね。
免疫といえば季節もの、京都では水無月です。師団街道どんつき近くの”まなゆり”の水無月はそぼくで水有月を感じます。夏を乗り越えるためのアイテムです。
大石内蔵助さんも300年ほど前にこの辺りに通っていたそうです。
平田 学
2023年02月12日
スペアとスプリット
麻酔科ローテーションの目的はなんだろうか?CPR(Cardiopulmonary Resuscitation)に必要な手技の一部を短期間に集中的に習熟できる。もちろんその意味合いもあるだろう。ではローテーションの期間としてどれくらいが適切なのであろうか?
ボウリングの経験のない研修医はいないのでは。コロナ前は麻酔科主催の懇親会として河原町通りにある某アミューズメントパーク内でボウリング大会を行うことがあった。上手下手は元からのセンスも関与するかもしれないが、経験頻度がスコアに直結するのは実感するところだ。毎日来ているセミプロは半年のブランクがあっても2,3投もすれば本来の調子を取り戻す。そう、ボウリングは経験頻度が技術保持に重要な競技なのである。これをCPRにおける気道確保に置き換えて考えてみる。
麻酔科のローテーションなしのプログラムにおいて外来および病棟でのCPR手技を経験症例数は、基幹病院においても年間10症例ほどであろう。この数ではCPRに必要なエアウェイ確保のための手技習得には不十分であることは明白だ。
現在の麻酔科研修期間は2か月の施設が多く、中には1か月の所もある。1か月あたりの徒手気道確保経験数は20~30例ほど。気管挿管は20例ほどか。バッグバルブマスクの習得に関しては、35症例でも微妙であるという報告や気管挿管について50症例を要するのではという報告がある。BVMは2か月ローテーションで50例、気管挿管は40例ほどと見込まれる。地域医療への貢献が研修後も求められるようになる状況の中、器材も人材も十分とは言えない施設においてのCPRを想定すると、上記の数で十分であると太鼓判を押すのは若干ためらわれる。3か月目の研修選択を勧めるがそれが無理であれば、他の人の症例を十分に見て少しでもイメージトレーニングを積み成功率を上げるしかない。
ボウリングも他人の投球を見て技術を盗む。そしてストライクよりスペアが大事。スプリットをカバーするのはプロだけで良い。
Komatsu R
et al.:Learning Curves for Bag-and-mask Ventilation and Orotracheal Intubation:
An Application of the Cumulative Sum Method. Anesthesiology June 2010, Vol.
112, 1525–1531.
Buis ML: Defining
the learning curve for endotracheal intubation using direct laryngoscopy: A
systematic review. Resuscitatin February 2016, Vol.99, 63-71