2021年09月22日

蔵人は素晴らしい

  秋になり、講義を行う機会が増えています。院内研修会や看護学校、救命士訓練センターでの講義等。事前の資料を送る必要性があるのですが、すべてグーグルでやり取りしているのではないので、メールに添付して送ることになります。しかし、動画を入れると容量オーバーで送れず、結局USBメモリに入れ、依頼元に持ってゆくこととなります。施設内ならよいのですが、外部は結構遠い場所も多く、300年前の飛脚状態です。まさしく、なんのこっちゃです。

  私たちの体の中でもこんな非効率なことをしているのでしょうか?感染に備え、大量の重い、重い抗体情報を、免疫担当細胞は総出で、戦闘現場に持ってゆくのでしょうか?まるで一人の銀行強盗に、空挺師団を投入しているかのようです。ふつう、遠隔で本部から指揮された機能的装備下の少数精鋭SAT部隊が投入されるのが常ではないでしょうか?

 では、話を講義に戻したいと思います。動画を含んだ重いファイルを送るにはどうしたらよいでしょうか?サーバー容量を増やしてもらうよう契約を変更するのも手ですが、時代遅れかと思います。もちろんクラウド管理でしょう。感染と戦う免疫担当細胞にとって、何から何まで持ってゆくフル装備は普段の訓練だけで疲弊してしまうことが予想されます。軽装備で移動し、戦地で輸送部隊から戦闘形態に応じた装備を確保し、作戦遂行するのが効率的と考えます。

 もしこのようなメカニズムが生体内にあるとすればどのようなものが想定されるでしょうか?以下妄想です。

 生体でも、個々の免疫記憶細胞がすべての情報を、私たちがPCや大量のUSBメモリを持ち歩くかのように付帯しておくのは非効率と考える。であれば大容量のクラウドサービスを利用しようとする。生体における大容量クラウドメモリは大脳にほかならない。しかし、抗原提示細胞は脳に直接コンタクトできないか、非常に難しいと考えられる。であればコンタクト可能な末梢神経終末を利用するはずである。免疫関連情報は求心路を通って脊髄・視床経由で大脳皮質の免疫記憶エリアに投射される。もし局所で感染が激化し、効率的な対応が免疫細胞に必要とされた場合、記憶エリアから遠心性に情報が伝達され、コンタクトしている免疫細胞に神経終末で情報提示が行われる。液性免疫系は局所の感染に最も適合した抗体情報を手に入れる。また細胞免疫系では、情報から一番戦いやすい形態へと細胞分化を促す。うーん、まるでレインボーマンのようですね。

この妄想を証明するとなれば、おそらく求心路は視床を通るはずなので、想定される部位を障害するモデルを作成し、感染させ、その重症度比較を行うとともに、血清免疫学的差異や組織学的差異を見つけることでしょうか?

 蔵人はクラウドではなく、本来はクロウドと読むそうですが、天皇の書籍番であったと記憶しています。なんともインテリジェンスを感じる言葉ですが、まさしく私達の脳は生体蔵人といった感じでしょうか。脳にはまだまだ未解明の能()力があると信じます。

 

武器も持たない千手観音より名刀ムラサメを手にした宮本武蔵の方が強いのか?

                       
                                                                                                   平田 学



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2021年05月30日

見えると見えぬ

休日の昼間、のどが渇いたことをいいことに矢継ぎ早に缶ビール2本を開けると、強烈な睡魔に襲われました。30分だけ寝ようとうたたねしたが、不幸にも悪夢を見ることになりました。どうもそこは雲の上のよう。桶に柄杓で何かを入れている二人?よく見ると一人には角があり、一人には羽がある。悪魔と天使のよう。ここが夢らしいが、二人とも顔は私にそっくり。悪魔は泥水を桶に注ぎ、天使は浄水を注ぐ。悪魔の柄杓は大きく、どんどん水は濁ってゆく。必死で天使は清水を汲みいれるが、まったく追いつかない。不思議なことに客観的に見ていたはずの私は天使になっていました。こまり果てた私は、さらに天に向かって「神はいないのか?」と叫びます。すると遠くから神が現れる。また二人?いや二柱、それも神に扮したモンスターエンジン!こんなハチャメチャな状況に、夢の中でこれは夢なのだろうと思いはじめました。夢なのだから、神に桶の水を全く清らかにする方法を聞けば、心よく教えてもらいハッピーエンドとなるであろうと思い、「どうすれば桶の水を浄化できるのでしょうか?」と下心満々で尋ねると「泥水にいくら浄水を注いでも完全に清らかな水にはならぬ」といった瞬間、水があふれ桶がひっくりかえりました。「夢でしょ、夢でしょ」とうろたえる私のはるか足元では、怒涛の水が地上を満たし、山を削る。その中を今にも難破しそうな船が大波に運ばれて行く。

 過換気でテタニー寸前になって目が覚めました。テレビを見るとオリンピック・パラリンピックの是非を問うニュース。この音声入力のせいかと納得しつつも、なかなか動悸はおさまらず、Afになったのかと思うほどでした。昼寝なんてしなければよかった。

 眠る余裕があるのは良いことですが、眠れないのはさらにつらい。私の世代は岡村孝子さんのファンが多いと思いますが、その曲に今日も眠れないというのがあります。私も好きでよく聴いておりました。当時の媒体は驚くなかれ、テープでした。貧乏学生の私は帰省の際、高速料金をけちるためによく下道で帰っておりました。岐阜、名古屋への最短ルートは油坂越えでしたが、夜はリスキーだったので、よく敦賀経由で帰っておりました。8号線を南下し、木之本から農道経由で関ヶ原にショートカットしていたと思います。そのまっすぐな農道で聞いていたのが岡村孝子さんの曲でした。関ヶ原の表示に美濃・尾張の人間は絶対的な安心感を覚えます。ここからが我がテリトリーでした。話がそれましたが、上述の今日も眠れないのフレーズが興味深い。見えるものを見えると言えないことが多すぎて、誰も彼も利口に思えて今日も眠れない。 深いと思います。何が見えているのに見えると言えないのでしょうか?オリパラ後の未来でしょうか?また少し歌いかえるとさらに深くなります。見えぬものを見えると言えないことが多すぎて見えない何を見ているのでしょうか?

 信長は是非におよばずといったそうですが、小人物の私には是非は推し測れません。

ただどちらに転んでも、国破れて山河ありとならないようにしていただきたいと思います。

 

 

                       平田 学

 



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2021年05月08日

中年麻酔科医の頭のリハビリは大変

 慢性期症例の一般病棟でのウィーニングが難しいのに気づきました。以前の経験はICUでの急性期の症例が大半で、可否判断が早期に可能でした。そしてやはり強力なのは、絶え間ない人の目と強力なモニター。まったく別物です。フレイルに似た病態がウィーニングを困難にしています。まだまだ栄養、感染管理、リハビリについての知識が不足していると痛感します。この年にして気づかされることもある。

 ただ以前から気にしているように、COVIDの対応で看るのが難しくなるICUSCUの人工呼吸器つきの患者さん方が、一般病床に押し出されて行くのは必須で、この方々の予後改善に関与すべく私のようなRST初心者も関与しなければならないと自負しています。

 トンネルの入り口には必ず出口があるはずです。まだまだかすかな光かもしれませんが、その先に広がるまばゆい風景を思いうかべながら、進み続けていきましょう。

 

                          平田 学



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