軽くシャンパンカエルがなくから帰ろう

2014年07月13日

メインエンジン

 さて遅くなりましたが、先々週および先週の医局勉強会はICUにおけるターミナルケア

のありかたについて、緩和医療内科のF先生、ICU責任者のM先生に続けてレクチャーしいただきました。集中治療医はターミナルケアに際し、医学的、法的、倫理的に適正な判断をおこなわなければならないのは当然でしょう。治療の手控えについては患者の意思にもとづくべきではあるが、それを表示できない場合、家族の同意が必要となります。しかしながら数時間から数日中に家族が突然なくなるであろうと宣言された家族にとって、冷静に話を聞くのはかなり難しいことでしょう。家族へ敬意をもって丁寧に説明するしかないのは明白です。その上で大事な人を亡くしてゆく家族に対する心のケアが、その後の家族の社会的な立ち直りにも役立つのは当然と思われます。ICUにおける終末期医療を主導する集中治療医はそいった意味で、ヒューマニストである必要性があります。

 今週の勉強会はバッカス先生の”PAD”ガイドライン。人工呼吸患者の鎮痛は重要ですが、

施設によってはいまだ重要視されていないのが現状でしょう。ただ人工呼吸下の患者は原疾患の影響で過大なストレスを受けてる可能性が高く、鎮痛による交感神経系の抑制は必要であると考えます。硬膜外ブロックによる鎮痛にも言及していましたが、多発外傷や重症敗血症等では凝固機能が破綻していることも多く、適応が限られると考えます。

凝固障害が存在しても比較的施行しやすい浅部ブロックは言及されておらず、これがどうなのかは興味があるところです。Agitationについては当たり前となってきていますが、RASSSASによる評価の重要性について概説しくれましたし、せん妄については、生命予後と非常に相関するため、その評価、予防が重要であることを説明してくれました。

 麻酔科学会専門医制度が変わり、それに伴い研修プログラムも変更となるため、来年度の麻酔科志望の新後期研修医予定の方々は少々戸惑っているに違いありません。来週は3名の研修医の先生が見学にきていただくことになりそうです。当科の研修体制や当科とリンクしている府立医大プログラムについてのメリットとともに、状況によってはデメリットになるかもしれない点についても実直に、つぶさに提示したいと考えています。ただ当科にとっても若い人材による牽引は最も重要なメインエンジンであると考えています。ICU、救急を含む関連分野のカバーという点を視野に入れれば、多少の過剰人員については病院側と交渉できると考えています。

                       

平田 学



mh5963ya at 21:15│Comments(0)

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