師走初回勉強会Congratulation!

2014年12月13日

まだまだ青いよ

 昨日の勉強会は私の担当。先にERASを"枕"として
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   引き続き
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 この論文をもとに、最近の輸液管理トレンドについて解説してゆきました。私が麻酔科医となる前は、食道手術にしても、肝切除術にしても可能な限り術中輸液をしぼるという考えが主流でした。場合によってはそのような手術でもトータルの輸液が1000mlにも満たない症例もあり、高率に急性腎不全、現在のAKIを起こしていたそうです。super-restrictiveの時代であったと思われます。私が研修医をの時期には、このような症例に対する輸液量は多くなりました。15ml/kg/hを超えるような総輸液量となり、liberalのカテゴリーにはいるようになっていたと思います。食道術後は肺合併症が多く認められるため、術後はICU2,3日は鎮静下人工呼吸管理とし、その後抜管していました。

 今日では研修医の先生に管理してもらう肝切除術でも56mg/kg/hで、食道手術でも同程度で管理できていると思います。もちろん術後の血栓症やAKI併発の頻度に差はないと思います。

 晶質液は急速大量輸液を行うと血管内皮(構造)障害をきたすといわれており、liberal管理下での急速大量輸液は必然的に間質への大量の体液シフトがおこります。高侵襲長時間手術では最終的にタンパク成分を伴ったシフトとなってしまい、血漿膠質浸透圧も低下してします。上述の高侵襲手術時にrestrictive管理をいしなければならなかった時代は、細胞外液型輸液剤が主流でした。また膠質剤としてはアルブミン製剤が主体で、使いづらい面が多く、前者を大量に使わざるを得なかったのが実情でしょう。逆の言い方をすれば、術中の安全域を広めるため、すなわち十分な血管内容量を保持するため逃げる分を考慮し、wet sideとしたほうが、術中は安全であったからと考えられます。逆に術後に負担をかけていた可能性があったともいえるでしょう。
 現状はどうでしょうか?術中は血管内保持効果の高く、安全域の広い人工膠質が十分に使えますし、術前の傾口補水の併用により、生理的な
術前貯蓄が可能です。これらの効果もあり、高侵襲長時間のハイリスク症例において総輸液量を安全にしぼることができるようになったのだと考えます。もちろんこの安全にという部分を施行するため、信頼性の高いパラメータを用いたGDTが有用となってくるのだと思います。各パラメータには一長一短がありますが(例えばマシモから得られるPVIは非侵襲的で解釈をするうえでも簡便ですが、気腹操作などに伴い信頼性が低下するケースもあるそうです)、施設ごと、症例カテゴリーごとに適応できるGDTプロトコールを考えてゆけばよいのではないかと思います。
 私ごとですが、いよいよ明日で49,アラ!50ですが、先輩方からは"先生、まだまだ青いよ"といわれます。まだまだ未熟者なので、明日は"行きつけさん"でおすすめ料理でワインをいただき、"真っ赤に熟したい"と計画中です。

                              平田学

                      



mh5963ya at 11:41│Comments(0)

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