PDPHに詳しくなる?(1)PDPHに詳しくなる?3

2015年01月01日

PDPHに詳しくなる2

 KIXでもよく目にする。エアアジア機だが、どうも墜落したようです。この時期のインドネシアはちょうど熱帯収束帯が南方に移動してきてる頃です。熱帯収束帯は一年を通して低圧部となっているバンドで、貿易風の原動力になったり、モンスーンの原因になったりします。オーストラリアに夏休みに行ったひとなら、赤道通過前に飛行機がかなり揺れたのを経験しなかったでしょうか?(夏場は北にシフトしています) 行きは夜間にこの地域を通過することが多いので気づきませんが、返りの便で恐ろしい程発達した、hot towers=積乱雲列を見たことがある方がいらっしゃると思います。あれが熱帯収束帯にできるmulti cellsと考えられます。多くは三角形のかなとこ雲を伴い、上空の風速が早いのが見てとれます。事前にシートベルト着用サインが出ており、なぜだろうと思っていると時に恐ろしい程の揺れとなります。おそらく墜落したエアアジア機もこれを回避しようとしたが、積乱雲団が大きすぎ、雲頂の最も低いエリアを高度を上げて通過しようとしたのではないでしょうか?

  全くの想像の世界ですがこのような状況で機体に墜落を生じさせる程の要因として私が考え付くのは2つです。一つは通過中のエリア下方で急速に積乱雲が発達し、その気流に巻き込まれた可能性。えっ、でも上昇気流なら少なくとも墜落するようなことはないんじゃないかと指摘されるでしょうが、この上昇気流は対流圏境界部(かのとこ雲の頂部)で急激に水平方向へ向きが変わります。もし急にこの強い風を側方から受ければ、コントロールが難しくなる可能性もあるのではないでしょうか?もう一つは雷です。2009年だったと思いますが、エールフランス機が墜落したのも赤道周囲ではなかったでしょうか?あの時は雷が原因かもしれないといわれていたと思います。飛行機は遮蔽され、安全と考えられますが、実際に雷撃により破損をきたしたという事例も聞きます。航空機には電流が素通りしやすいような仕組みがあるそうですが(元々通信機器を保護するためのもの)、地上の落雷と違い、発生源の雷雲の直近にいるわけですから、雷撃のエネルギー自体が冬の日本海側の落雷と同様けたが違うはずで、少なくとも電子機器を一時的にマヒさせるような可能性を否定できない気がします。

 

さて本題のPDPHについてですが、1.Post-dural puncture headache: pathogenesis, prevention and treatment, 2.Accidental dural puncture and post dural puncture headache in obstetric anaesthesia: presentation and management: A 23-year survey in district general hospital, 3.International Journal of General MedicineからPost-dural puncture headache. をざっと斜め読みしてみました。2ではspianl針によるPDPH1.04%,3では0.161.3%,1では針の形状と太さによる発症率をテーブルにまとめています。Quincke針の25G,26G,27Gそれぞれ325%,0.320%,1.55.6%,pencil-point typeであるWhitacre針の25G,27Gでそれぞれ014.5%,0%としてます。ではADH(accidental dural puncture)はどうか?1ではspinal針によるPDPHの頻度と同時にテーブル上にTouhy針による発生率は70%としています。2では妊産婦との限定下では8086%でそのうち26%は穿刺時に気付かないとのこと。従って、テストドーズで広範囲のブロックをきたす場合は硬膜外への局所麻酔薬、麻薬の投与は慎重にならざるをえません。あるいは通常どおり投与するのであれば、ICUでの観察等、呼吸を十分に観察できる環境下に置くのがベターと考えます。ADPとなった場合は効率に頭痛を合併する訳ですから、手術が終わり落ち着いた時点で、見込まれる症状の経過、起こり得る症状および合併症、ブラッドパッチを含む治療法につきICしておく必要があると思います。若干前にもどりますが、ではなぜpencil-point針でPDPHが少ないのでしょうか?穿刺時の硬膜の破断面が不規則で炎症が起こりやすく、癒着、癒合しやすいためと言われています。実際に犬の硬膜に意図的に欠損を作った場合、1週間で閉鎖を認めました(1)。そしてこの修復は硬膜切開部から始まり、フィブリン化で促進されると。これがpencil-point針によるPDPHの起こしにくいさとを説明する一つの要因と考えられます。またフィブリン化は硬膜切開周囲組織の炎症および出血に起因するといわれ、これもブラッドパッチが有効とする根拠となっています。

Quincke針を用いてspinal tapを行う時に私も良く長軸方向にベベルの向きを合わせなさい。そうすれば通過時の抵抗が減り結果的に穿刺孔が小さくなるよと言われていました。しかし実は硬膜線維の走行は一様でなく、あまり根拠がないといわれています。

 では頭痛は何時はじまるのでしょうか?66%48時間に起こり、90%3日以内に起こります。しかしまれながら5日~14日に起こることもあると。症状としては前頭部、後頭部全体に焼け付くようなあるいは金属様の痛みが拡がり、頸部や肩に放散することが多い(1)、起立時に増悪し、臥位で回復する、ときに嘔気や項部を伴う痛みであると記載されています(3)。大事なのは鑑別診断です。偏頭痛悪化は問診、徴候から鑑別可能です。見逃してはいけないのが頭蓋内占拠病変による脳圧亢進症状と頭蓋内出血です。疑えば画像診断を迅速に行い専門医に相談しましょう。

 このまま書き続けると新年から冗長となってしまうので、本日は診断までとし、治療はまた次回にしたいと思います。

 雪雲の侵入が朝はなくなったので、京都では初日の出がみられるかもしれません。

 さきいか片手にビールでめでたく迎えたいと思います。

 

                  平田学

 

 

 

 



mh5963ya at 05:25│Comments(0)

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