初物に福あり人生の回帰方程式

2015年04月28日

GI,unissez-vous!

 龍三と七人の子分たちという映画が痛快そうです。オレオレ詐欺にだまされた元ヤクザの親分を筆頭としてスーパージジイたちにより極悪非道な若者が木端微塵に逆襲されていく。映画のなかのジジイ達は若者以上に元気です。

 気が付けば自身も50前。いわゆる立派な爺医(GI)です。やはり若手医師に比べると手技の手際よさが鈍ってきたような気がします。これをnegativeに考えるかpositiveに考えるか。麻酔科領域においてスピードを求められる手技についてはかなり年齢要因が大きいと思われます。個人差はありますが、35すなわち10年目くらいがピークでしょうか?ただこれはどの分野にもあるもの。当たり前ですがAKB484848歳ではありません。その時点では彼女たちは自分の才能を生かした新たな仕事をしているでしょう。

 10年のスパンで私が所属している部門では、麻酔科から周術期管理科へと移行していく努力をしてきました。麻酔科術前外来の創設、術前経口補水の開始、重症例管理システム、術後回診の組織化とペインサービスの向上。これに伴い組織は大きくなり、手術室10室しかない小規模環境下で、麻酔科管理件数は4050件を超え、また私が直接関与しているわけではありませんが、麻酔科で運営している院内ICUでは、特定集中治療管理料も算定できるようになりました。ただここにきてなにかもの足らないものを感じます。それは周術期管理科へのこだわりだと思います。術中に関しては、すべてのスタッフが真摯にとりくみ、最大限の結果を出していると思いますが、術前、術後とくに術後に関してはまだまだ手薄感を感じずにはいられません。もちろん術中の安全担保は当たり前のことで、これが大前提なのですが、麻酔科医という視点ではなく、周術期管理科医という観点からすれば、上記だけでなく、術後のADLの向上とともに、(周術期)予後改善も必須と考えます。正直術後に関しては、評価と対応にまだまだ改善の余地があると考えます。周術期管理科とかっこよく名乗るのであれば、いくらORSを早めに始めたからといって、それが術中のバイタルを安定化させるとか、必要輸液量を減らせるといった内容だけで満足しているわけにはいきません。それによってたとえばCKD術後の増悪が抑えられるとか、心事故が減るとか、SSIが減るとか(術前ORSによって交感神経系は抑制される方向性にあると考えられるため。本当は心拍変動解析を術前、術後に行って比較したいのですが)そういったパラメータを積極的に調べることによってはじめて、私たちの周術期スパンでの介入評価ができるのではないかと思っています。現実は・・・できていません。評価のためには術前もそうですが、特に術後は知識と経験豊富な人材が公正な目で評価することが最も重要だと思います。なにも麻酔導入を5分で行い10分でスワンガンツを入れ、5分後には経食でMRの重症度を評価する技術はここにはいらないのです。激しい緊急手術や複雑な心臓手術の麻酔は知識や技術の習得に貪欲な若者にまかせる。一方周術期の適正な評価とそのフィードバックには私のようなGIがチームを組んであたる。そのような形が理想的ではないのでしょうか?     

 周術期介入に関するデータをフィードバックすることは臨床にとって非常に重要なことと考えます。荒っぽい言い方をすればスマートな臨床研究よりよっぽど意義深いと個人的には思います。この宝の山を堀り起こしたいのに起こせないのが、現時点の最大のジレンマなのです。文字どおり宝の持ち腐れには絶対したくありません。

          GI,unissez-vous!           平田学



mh5963ya at 07:54│Comments(0)

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