久しぶりABC懐かしの大社号

2015年11月08日

What should I wean from?

 先日、ICUの日勤にてAMI-LOS(LCOS)症例でのIABP離脱を見る機会がありました。いつもアシスト比を減らしてweaningしていますが、この方法が妥当なのかを含め疑問に思ったのでThe Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery、2013年のHow should I wean my next intra-aortic balloon pump? Differences between progressive volume weaning and rate weaningにつき、ななめ読みしてみました。

(目的)Intra-aortic balloon pumping(IABP)は左室補助装置として頻用されているのに、最も適した離脱方法が検討されていない。2方法の離脱法につき比較した。
 (デザインと方法)単施設、無作為無作為割り付け臨床研究。低心拍出量症候群(low-output cardiac syndrome, LCOS)30例を比率離脱群と容量離脱群に分けた。
比率離脱群(R群);1;1のアシストの後、4時間1;2のアシストとし、その後1時間の1;3のアシストの後完全離脱。
容量離脱群(V群);1時間に10%ずつアシスト容量を減じ、5時間で半減した後完全離脱。
離脱開始条件は心係数(CI)が2.5L/min/m2を超え、CVPは12mmHg以下、血清乳酸値は2.5mmol/L未満、平均動脈圧65mmHg超、時間尿量が1ml/kg超でこれらが5時間継続すること。
 計測項目はcardiac index(CI), indexed systemic vascular resistance(ISVR), cardiac cycle efficiency(CCE), central venous pressure(CVP), トロポニンT, 血清乳酸値, 離脱からICU退室までの期間, 離脱失敗数。
 前6項目については10時点で評価した。
T0;離脱開始時 T1~T5;離脱開始1時間ごと T6;離脱2時間後 T7;離脱12時間後
T8;ICU退室時
(結果)両群の背景に有意差はなかった。R群の1例を除いて離脱可能であった。V群のほうがCI,ISVR,CCE,CVPのいずれの心循環および代謝指標も良好に保たれた。R群の方がIABP離脱からICU退室までの期間が長く、V群の方がT5からT8にかけて血清乳酸値が低かった。

 ではなぜ容量減少離脱の方が優れているのか、一つの理由は、IABPには小、中動脈平滑筋に直接働き、末梢循環を改善し、組織代謝を良好に保つ。離脱に伴い、この効果は徐々に失われてゆくが、容量離脱の方が比率離脱より玉たれやすい。もうひとつはIABPの真骨頂の一つは拡張期圧上昇効果であるが、比率離脱では1;1から1;2にするとこの時点でこの効果が薄れてしまうのに対し、容量離脱ではこの効果が最後まで保たれること。これらが主な理由と考えられます。これが血清乳酸値の差に現れているものと考えます。これをもって明日から容量離脱だとはいいませんが、治療計画選択の参考になると考えます。

 京都は紅葉真っ盛りです。 
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 東福寺の通天橋、周りが色づいています。この東福寺には山の背を通って稲荷山から行けます。東山トレイルのコースとなっています。いつもの通り山頂へは南東側からvcm_s_kf_representative_640x480
白菊の滝の登り口から急こう配を登ること150mほどでしょうか、山頂前の鳥居はくくらず、右に折れると時間が止まったような杉の古木がたたずむ山の背をおり四辻へ003
ここを右へ抜けます。右は恐ろしい崖です。奈落まで落ちてゆきそうです。
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もう一度登り口に戻り再び急こう配を山頂へ。この日は2周りでしたが、できれば5周はできるよう鍛えたいと思います。なかには雰囲気が怖いとおっしゃる方もいますが、私は厳しいなかにも優しさを感じますし、鼓舞されるような力が半端なく、ここを回るとさらに元気が湧いてきます(昔の偉い方のお墓の近くなのでしょうか、しかし何か懐かしい感じがします)。
 
 秋は体を鍛え、怠惰な自分から離脱したいと思います。

                     平田学 

mh5963ya at 09:22│Comments(0)

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