イレウス解除雪追い人

2013年12月07日

あまちゃん卒業

昨日は金曜抄読会はありませんでした。そのかわりリコモデュリンの情報提供。確かに海外でのデータがないにも関わらず、エビデンスレベルは敗血症性DIC治療薬の中では最も高く、日本版敗血症ガイドラインの中にも取り入れられている。

 麻酔科医として興味があるのはDIC予備軍である重症症例術後のどの段階で使用できるようになるのかという点である。もちろんそのような症例は術後早期からの治療開始がDIC発症あるいは増悪を防止し、ひいてはMODSを予防するためには重要となると思われますが。最近の発表の中には24時間内の症例もあるそうですが、術後早期使用例において症例蓄積を行い、リスクと利益の検証がなされることを期待しています。

 

 昨日は院内ワーキンググループの打ち上げ。ちゃんこ鍋に舌鼓をうちながら、結局硬い話も。I副院長からは、やはり今後の2階フロアの構想についての話があり、個人的な意見を求めれれました。今年の院内幹部研修では、私は手術室部門のワーキンググループではなく、救急、集中治療領域のワーキンググループに入り議論、発表していました。2階フロアは2つのICUHCUを含む救命病棟、およびその後方病棟を含むいわば救急集中治療特化フロア、その向かいには中央手術室があります。これらを有機的、流動的に活用することが、今後の課題であることを今年の幹部研修で発表しました。救急外来業務の効率化のためには、簡潔なトリアージと初療を行う救急医が重要であることは当たり前です。ICUに入る症例では、集中治療医に診療をバトンタッチすることが多かったわけですが、他のベッドにゆく場合はそのまま救急医が診療を継続する形になっています。ただ体制が変わり、受け口が大きくなると、この入院後も外来を担当した救急医が引き続き診療を行うというやり方では破綻をきたしてしまいます。いわば急性期医療のレスキュー部隊としてセンター内generalistの介入が必要となってきます。何のことやらと思われますが・・・

まずセンター内のICUHCUに入るような症例において、急性期の診療上一番大事なことは何かというと、正確な診断ではありません。もちろん診断も重要なわけですが、その前に急性期を乗り切るスキルとセンスが必要となります。その後スペシャリスト介入のもと、正確な診断と最も有効な治療の施行となるケースが多いと思います。それらについては実は、一般的な救急医や各専門医は得意ではない傾向にあります。昨日の会には総合診療にも関わっておられるF部長もおられ、話が盛り上がりました。私はこの分野を担う人材をacute-phase intensive generalist(APIG)と勝手に命名しております。この分野に必要なのは上記したスキルと急性期の診断能力。確かに麻酔科医と総合診療医が得意な分野です。もちろん麻酔科医は診断が、総合診療医は高度なスキルにつき苦手な部分がありますが、これは両者で相補的に補完でき得ると考えます。これらを構成する母体はこれらの分野に興味のある麻酔科専攻医や集中治療部専攻医(まだ当院では集中治療部は独立していません)、救急部専攻医および総合診療部専攻医と少数の指導医と思っています。

もしこのような形でフロアー運営が行われていくようであれば、十分な経験になることは間違いなく、麻酔科の専門医取得コースの一つのロテーションプランに含めていく必要があるのではないかと思われます。

前のブログでも述べましたが、急性期医療の分野でも現代サッカーと同様、上記したようにmulti-utility playerが重要となってくるのかもしれません。

同じことが麻酔科部にも言われてくるようになるのかもしれません。若い多数のgeneral practitioner 、少数精鋭のanesthetic specialist(心臓麻酔専門医、産科麻酔専門医、小児麻酔専門医)、少数の管理者、そしてそれ以外は急性期医療担当および集中治療担当という形になっていくのでしょう。ひとつのpositionだけではだめで、あるいはひとつのpositionをこなすだけなら著名域にはいらなければならないのだと思います(すなわち一芸に秀でる)。ある意味厳しい現実があり、私を含め努力(学術、社会的、教育、臨床、資格)をし続けなければならないのでしょう。競争してゆくことが全体のレベルアップに通じ、患者のそして病院の利益に通ずるのでしょう。

院長先生には「お前たちのやる気があるなら何人でも雇ってやるから」とちょっとお酒の入る席ではありますが、よく激励していただいています。もちろん心強いと思います。しかし中等度レベルの大集団を作っても、ハイレベルの小集団に負けてしまいます。先輩先生方は病院出身者あるいはF医大出身者での構成を強く望む傾向にありますが、私はそうは思いません。他大学の考え、他地方の考えを持っている人材も多く集めお互いに刺激し合いつつ、私を含め絶えず、厳しく競争してゆかなければならない。それがすべての利益にかなう最短距離だと思います。世は戦国、実力社会です。そうアイドルのあまちゃんでは困るのです。他大学、他地方病院出身者からの他流試合を期待しております。

 

                         平田 学



mh5963ya at 20:35│Comments(0)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
イレウス解除雪追い人