2013年09月

2013年09月30日

熱いうちに覚ませ

    最近忙しいせいか、自分でもイライラし過ぎだと思っています。今日も外来前に、ある専攻医の麻酔導入を見ました。彼の手技やポリシーはまだ未熟な面もあるが全体的に整合性はありました。気にかかったところがあり、言葉のキャッチボールをしながら指導をしているうちに、自分のやりかたと違うので苛立ちを覚えるようになりました。普段であればそう思っても3秒は自身にフリーズをかけ、リセットした後、言葉を選んで反応しているのですが、今日は抑えが利かず、「そんな未熟な技術では・・・」と言ってしまいました。未熟だったのは私のほうでした。感情に流されて客観的な意見が言えないとは情けないことです。
    外来後、少し冷静になれたわたしは、専攻医を二人きりで話せる環境に呼び、まず私の冷静さを欠いた態度について詫びました。緊張していたかれの表情が緩んだので、彼に協力してもらい、月に一度程度、臨床手技についての勉強会を行っていこうと、思い切って提案しました。こうすることによって彼のような新しい考えと私のような古い考えを融合させる機会を得、少しで建設的な方向性を得られると考えたからです。彼は快く受け入れてくれました。
  
  うちの様な医局では若手とベテランの年齢層にかなり隔たりがあり、麻酔に対する考え方も大きく異なる可能性があります。自分たちの考え方を押しつ けるとより両者間の反駁は強まってしまうようです。お互いにプロですから容易には妥協しません。それを埋めるには共通の媒体、抄読会を含む勉強会、学会参加そしていつもの飲みにケーションが重要なのでしょう。

 最近、私は寝坊がちで、朝のICUの回診もなおざりになっています。何とかリズムを戻して顔だけでも出したいと思っています。さもないとベテランスタッフから「お久しぶりぶり先生」と再びいわれることになりそうです。

 熱すぎるときは必殺おやじギャグで自己冷却している麻酔科医 平田学 

mh5963ya at 22:04|PermalinkComments(0)

2013年09月29日

ほっこりする場所

  たまった仕事をしにHPにやってきました。緊急でCABG+AVRをセッティング中でした。Y and Y先生のTEE大好きコンビが担当で、僕は遠巻きに見ているだけです。心臓血管外科T部長と挨拶そして雑談。その後仕事の話。火曜日に開腹手術で、IVC内血栓が右房近傍まで迫っている症例を臨時でする公算が強いとのこと。その体外循環アクセスについて話合いをおこないました(どこでテーピングを行うかを含め)。万が一のとき現時点ではPCPSで対応できそうと判断。何せ明日の朝一に主治医から手術室には申込みをしてもらわねば。この症例もTEEが活躍しそうですが。
 問題のない症例に関しては彼らのレベルで十分対応できるようになったと少しうれしく思っています。もちろん責任の部分においては私が絶えず負わねばなりません。従って私には彼らの自尊心を傷付けけないようかつ万が一行き過ぎた場合は安全に良い方向に誘導できるようある意味老獪なスキルが必要となっています。

 たまっていた仕事とは手術室運営上大事なものです。その仕事とは手術に関するオカレンス報告勧告書作成です。手術(麻酔も含む) に際してのニヤミスを含む事例につき、あらかじめ決められた基準に基づいて報告を行いこれを共有、検討することにより医療安全の質を高めるのがオカレンス報告システムです。基準、たとえば再手術が必要となった場合や手術開始が何等かの理由で遅くなった場合など報告が必要と考えられる案件については私が報告勧告を行っています。ちょうどサッカーのレフリーがイエローカードを切るかのようです。試合が荒れるとレッドカードが続出し、レフリーはその能力を疑われる場合さえあります。手術室運営においても可能な限りレッドカードを出さずに済む様、私達は全力でコントロールを図らなければなりません。

 もうすぐ10月。徐々に秋は深まり、11月下旬には医局から東福寺の紅葉がみられます。流動的で音でも聞こえそうな燃えるような赤と時間が止まっているかのような静寂の黄色 、両者が織り成す絵巻は感動的です。仕事をしながら目も癒される私達の病院に遊びにきませんか?

            もみじよりだんごの麻酔科医       平田学 

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2013年09月28日

救急と麻酔の架け橋

  昨日は当直であったためブログの更新はできませんでした。さて金曜恒例の抄読会ですが、今回は9月いっぱいで当科での研修を終えられるT先生に救急医療につき大阪北部の有名な救命センターでの経験を含め概説していただきました。先生の意見は救急医療においても私達麻酔科医の役割が大きく、普段から培われているそのコミュニケーション能力は診療の統合上重要な役割をになっていくだろうとのこと。確かに気道管理を含む術中管理やペインコントロール等は私達の得意とする分野ですが、それ以外の部分は広く浅い知識や技術しか持ち合わせないことがほとんど(少なくとも私は) だと思います。したがってERにおける初療については麻酔科でもトレーニングをつんでいない者は苦手なことは多いでしょう。しかし浅い知識から概要をつかむことや足らない部分を専門家からひきだすことは私達の得意技です。T先生が勤めておられた救命センターでは3日1回程の当直や24時間業務がありそのなかでドクターカーでの出動や集中治療業務があり濃厚だったそうです。聴くだけですでに当直をしたかのような虚脱感を覚え、そのまま帰宅したくなりました(え?) 。この記述はちょっとオーバーでした。T先生はもともと内科の先生ですが、救命センターで行われる処置(心嚢穿刺や開胸心マッサージ)に加えIVRもお手のものですが、決してそのようなことをひけらかすことはありません。人格的にも優秀です。そんなT先生が鍛えられたS救命センターは本当に救急が好きな先生方が熱意と使命感をもって診療を遂行している施設であるのは間違いないでしょう。T先生の講義後専攻医に「ちょっと1年程修行に行ってみるか?」と冗談交じりに聞いてみましたが、「無理です」引かれ、少しさびしい気持ちになりました。
 しかしその3年目専攻医も 最近は少したくましくなり、ちょっぴりうれしく思っています。両名とも私が雑用を言いつけても嫌な顔ひとつせずしますし、何事に対しても熱心です。F君はぼくが説得して入局させた一人です。よく勉強します。もう少しなれたら技術的にも上級医に少し近付けるでしょう。おんなじタイプが高校の同級生にいました。高2のときに古文の枕草子に難渋していました。私を含めまわりのものは「いまさら枕草子なんて試験にでないって」と馬鹿にしていましたが、高3になってめきめき成績が上がり、あっとゆうまに私達はおいてゆかれ、かれは超難関T大に余裕で合格してゆきました。F君も麻酔界のT大を目指して頑張って下さい。(本当に彼は素直で性格よしとおもいます。)
 さて私事でありますが今週はプライベートな用事で土曜は京都市内にとどまっております。翌日福岡で行われる心臓血管麻酔学会に日帰り参加の予定でしたが、所用のため不可能になりました。ちょっと残念です。
 最後にT先生6か月間ありがとうございました。今後も仕事に場合によっては飲み会(とりあえず忘年会) にお付き合いよろしくお願いします。

 直明け麻酔科医            平田学 

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2013年09月27日

部下の手柄は上司の手柄?

  昨日のスーパーバイザー明けであまり寝ておらず、失礼ですがあまり更新するつもりもなかったのですが、本日の研修医お疲れさん会で柄にもなく感動したので記事にしたいと思います。本当にみんなありがとう。本日は手術件数こそ多くないものの長い手術が多く、研修医の先生にその長い手術2つを担当させざるを得ませんでした。1か月前までは私自身が麻酔管理担当の指名をおこなっていました。私が部長職についてからはO先生にお願いしています。ちなみに担当医師の当て方としては私の感情論に比しO先生はクールで理論派。研修医の先生3名のうち2名は近近研修終了であったため、打ち上げ回が予定されまいた。それに便乗するように10月一杯で麻酔科を去る(1名は1年内)2名の送別会となりました。一時会は定期手術が長引き研修医の先生は参加できず、2次回からとなりました。まず一時会を盛り上げた麻酔科手術管理部部門の副官のO先生(男性)とO先生(女性) に感謝。なおかつ2次会にも参加、らうつらしている私の代わりに会をリードそてくれました。直明けにも関わらず来てくれたO先生 にも感謝。昨日はAAAに苦しめられました。緩和のF先生も参加していただきもりあげていただきました。10月からもといた病院に変えられるT先生ば今後も週に一回当院にきていただけるようで安心しました。一緒に救急の現場をよりよくしましょう。なにより定期手術が遅くなりそうだったので半分卒業する研修医の先生の参加は無理であろうと思った矢先、一時会の終了間際にY君がK研修医を、2次回になってICU副官で本日のスーパーバイザーのY君がI研修医をつれて現れました。もう彼らには感謝、感謝です。とくにY君はつかれているのに誠に申し訳ない。
 このように本日の宴会も各担当の献身的な努力によって大成功でした。十分送られるひとに私達の気持ちが伝わったことでしょう。大事なのは他人に対する奉仕の気持ち。上司(私)の手柄は部下の手柄。部下の失敗は上司 (私)の責任で突っ張りたいと思います。
 本日は長文が書けなくてすみません。

少し酔っ払いの麻酔科医 平田学 

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2013年09月26日

適財適所

 午前0時を回りました。疲れのせいか少し寝入ってしまいました。きょうも当医局員達は非常によく頑張ってくれました。感謝です。当科の医局員には日々それぞれ役割があります。麻酔管理を担当するもの。緊急手術に備え待機(最近忙しい日は日勤帯より軽めの麻酔業務に従事してもらうこともあります)している待機番(夜間の場合はオンコールにあたります)。麻酔管理業務を統括し業務割り振りを行うスーパーバイザー、日替わりであり必ずしも部長が行っているわけではありません。スーパーバイザーを補助するアシスタントスーパーバイザー。外来担当。外来といっても当院ではペインクリニックは現時点では行っておらず術前外来のみです。外来の補助を行う術前補佐係。またICUの担当は救急ICU日勤1名、院内ICU日勤1名。余裕がある日は両者の監督上級医。院内ICUは夜間は当直者を当科から出しています。
 外来の話がでましたが、目的は手術の少し前から患者さんに麻酔の方法、リスクについて説明をおこない理解を深めて頂くとともに術前の不安を少しでも解消していただくことです。以前は前日に麻酔担当医が訪床し、その場で麻酔法、リスクについて説明を行うという方法をとっていました。患者さんにとっては唐突な話で、主治医が手術の詳しい内容についてまだ説明していない状況であると患者さんの混乱を招く場合もありました。その結果多大な時間を割いての説明が必要であったり、主治医同席での説明が必要となったりしました。そこで6年程前より、定期手術は1~2週間前を目安に外来で前もって説明するようになりました。外来を早めに設定することにより、主治医も手術の概要についてはあらかじめ患者さんに話をしてくれています。外来に来られた患者さんにはまず麻酔管理についてまとめられた10分ほどのビデオをみていただきます。その後外来担当医が説明を行います。ここで問題点が生じた場合、たとえば失神の既往がありその原因がはっきりしない場合などは依頼科外来担当医を通し精査を行い、手術前日までに評価確認とリスク説明のため外来説明をもう一度設けます。手術前日は翌日のスーパーバイザーが外来を担当し、初診時あるいは患者さんによっては再診時も含みますが、説明補足を行います。また外来ではありませんが、麻酔担当医は直接病棟に赴き患者さんの診察を行うとともに状況においては上記の麻酔説明の補足を行います。スーパーバイザーは手術前日から当日の朝にかけて担当医と個別協議を行い麻酔管理対策を立てる形をとっています。術前の患者さんとのコミュニケーション形成の機会に関して当院では3回以上を設けています。
これは"目に見える麻酔科医"を実現していくための表現型であるだけではなく、安全管理上のメリットもあります。初診時前に外来業務を円滑にすすめるために外来補佐担当がカルテ診を行っています。まずここで問題がピックアップされる可能性がかなりあります。また初診担当者は患者さんに実際に面会することにより新たな問題点を見つけ出すかもしれません。そこをすり抜けても前日のスーパーバイザーによる確認時、最終的には担当医の訪床時に問題点が把握される可能性が高い。この4つの関所(場合によっては以来科の先生のチェックも入っているので5つかもしれない)で術前リスクを捉えようとしています。余談ですが術後の回診は当日が麻酔担当医、翌日がスーパーバイザーですので、当院では麻酔科管理で手術を受ける患者さんは少なくとも延べ5人の麻酔科医と顔をあわせることとなります。
 今日も役割にかかわらず全員文句も言わず楽しそうにに働いてくれました(いろいろ難しい症例もありましたが)。これがこの医局の宝であると手前味噌ながらつくづく思います。適材適所ではなく適財適所です。

       あしたの平日宴会(麻酔科ローテを終了する研修医の先生のお疲れさん会)
   にそなえそろそろ帰宅しなければならない麻酔科医                                    平田学
 

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