2013年11月
2013年11月30日
ブレてなーい!
11/28、新しいFIFAランキングが発表されました。日本は何と48位。10月のヨーロッパ遠征の2連敗が響いていますが、総合的にはとても現状を表しているとは思えません。ただオランダ戦の1失点目、ベルギー戦の1失点目を見ると守備や意識の面では40位台といわれても仕方ないのかもしれません。何せFIFAランクなんて全く信憑性がありません。あまり詳しくはありませんが、僕が関心したのはゲンクでのオランダ戦。あの時のピッチコンディションは良くなかった。こういう条件ではパスサッカーを得意とする日本は苦労することが多かったのですが、比較的正確につなげていたこと。オランダよりより早く正確につなげていた。これは進歩の証だと思います。問題はワールドカップの開催地がブラジルであること。規定によりチェックされているはずですが、ピッチ条件としてはこれより悪くなる可能性があること。ヨーロッパのスマートで素直な寄せであればパスを通せるが、南米チームのガチガチと音がするような寄せや、かすめとるような狡猾な守備に対して正確にパスを通すことができるのか不安に思っています。
決勝に進むためにはくじ運が重要となります。また前回以上の成績を望むならさらに重要となります。第一ポットと呼ばれるシード国には開催国のブラジル、日本が苦手な南米のアルゼンチン、ウルグアイ、コロンビア、前回優勝のスペイン、強豪国のドイツ、ベルギー、スイスがあります。日本としては相性の比較的良いヨーロッパ、できればベルギー、スイスと同じ組になれば、予選一位通過の可能性も出てきます。予選突破ができても2位通過だと、トーナメントで強豪国とあたる可能性が高くなってしまう。従って上記ベルギーあるいはスイスと同じ組となることを希望します。
マルチユーティリティープレイヤーの重要性も短期決戦では重要になると思います。以前はあまりこの重要性には気づきませんでした。途中交代で適したポジションの選手を入れれば済むやんと思っていました。が、この交代というのが局面に大きく関わってくるのだという事実を認識し始めました。特にディフェンス面で均衡が保たれている状況を想定します。ところが終了15分前にSBが負傷により交代が必要になったとします。本来であればSB専門の選手を入れるのが自然ですが。よく目にするのがその直後のセットプレーであっという間の失点。フィジカル面にできあがっていても、急に交代で入った場合、情報共有であったり、その試合特有の流れの把握であったり、少し時間を費やさなければ追随できない部分があります。一流チームは必ず(ブラジルなんて大得意でしょう)ついてきます。従って守備面においては”すき”をつくるべきではない。ボランチの細貝を下げ、CHの遠藤をボランチに、そして守備的ハーフを入れる、このような起用のほうが守備意識の共有に水をささない可能性が高いと思いますが。
では本論の医療についての話。私達にはマルチユーティリティープレイヤーは必要ないのでしょうか?また麻酔科集中治療領域のマルチユーティリティーとはなんでしょうか?臨床麻酔、集中治療、周術期管理、急性期医療、救急医療、ペインクリニック、緩和医療
等々多方面に渡りますし、もっと細かい分類もできるでしょう。もちろんこれらすべてについて精通していなければならないことはありませんし、不可能です。ただ今後の特に現状で、私達が所属しているような比較的大規模な一般病院においては、たとえば心臓麻酔が得意だというように専門性が高い人材について考えると、私の勤務している規模の病院では少数名で十分であると思われる。それよりはベースとしてどのポジションもそつなくこなす人材の方が多く求められているのではないかと感じています。もちろん個々人の専門分野はアイデンティティーを示したりモチベーションを維持するために必要だと思いますが、当院のような環境ではベースとして”総合臨床麻酔”であったり、”総合集中治療医”であったりする必要性があるのではないのでしょうか?そんなみんなが同じようにする仕事はつまらない。人によっては臨床麻酔なんて単調でつまらないという意見を述べることがありますが、どうでしょうか?医療分野と他の分野を一緒にしてはいけませんが、私達麻酔科医にとって顧客とはだれあるいは何でしょうか?もちろん患者でしょう?次に執刀医を挙げる人がいますが、これは大間違いだと思います。執刀医は顧客を満足度を上げるための同僚です。いないと思いますが、もし診療科の先生で麻酔科の顧客は執刀医だと言い放つ方がいらっしゃるなら当院の見学をお勧めします。うちの執刀医にはそのような考えの方はいません。もちろん人間ですから少々議論を交わすこともあります。が、私達麻酔科医や集中治療医は各診療科の先生方を尊敬しているし、逆に私達も尊敬を受けていると感じています。それは私達の前任者方が何十年とかかって築きあげてきた歴史に裏打ちされているものです。くずれることがありません。もう一つの顧客は社会となります。これはまた違う機会に言及したいと思います。
こういう表現は無機的で好きではありませんが(医療者と患者あるいは社会との関係はより有機的と考えていますので)、顧客の満足度をあげるる行為を単調だとおっしゃるのであれば、その仕事に向いておられないのではないでしょうか?ぼくはいささか傲慢だと思います。これは昨日当院にきたポリクリの学生さんにも言ったことですが、輪島塗りの職人が毎日の漆塗りは単調で面白くないというでしょうか?そんな職人はいません。職人は毎日毎日同じようなクオリティーのものを少しでも完璧になるよう作り続けている。今日は朱塗りで、今日は金箔を多くといったようなバリーエーションはあまりないはずです。にもかかわらず職人は完璧をめざしてもくもくと毎日努力している。これは顧客への礼儀と自身の信念に誠実であろうという気骨心にほかならないと思います。もちろんそのような職人気質の麻酔科医はいると思いますが、非常に少数派でないでしょうか。それが不満であるというなら社会的貢献が第一義の一般臨床病院でお働きになる必要はなく、自分の腕を信じてブラックジャックのように生きてゆくか(こう書くとブラックジャックは熱いヒューマニストなので本意ではありませんが)あるいは”私、失敗しないので執刀医”と”私、失敗しないので麻酔科医”が組んで理想の病院でもおつくりになればいい。少なくとも将来に希望を持って麻酔科や集中治療科を目指す人材に、こっそり自分の考えをアンフェアに耳打ちするのはやめていただきたいと思う。正々堂々としたやり方ですべきだと思います。
僕たちがまだまだ甘いと思う点もうひとつ。
心臓外科のオペレーターについて。厳しい競争社会だと思う。実力、運、努力がなければなれない。目指しているもののなかで実際にその立場になれるのは10人に1人ぐらいでしょうか?みなさんたいてい苦労(金銭的にも)して海外で修行している。なかには環境の変化で病気を患い、断念する人もいる。帰国してもポストがあるとは限らない。たとえあっても国内でオペレーターとしてやっていけるかはまさしく運次第。志し半ばで、他の外科分野や場合には内科に転向するひともいる。開業するひともいる。でもチャンスがあればと彼らのほとんどは考えている。このよう厳しい闘争に敗北しても彼らはそのことを愚痴たりする姿をほとんど見せない。それにひきかえ・・・・
もちろん麻酔科医の中にもこのような過酷な条件を勝ち抜いて、さらに厳しい環境で切磋琢磨している方もいるでしょう。ただ僕を含めて生ぬるい湯のなかに浸かっているのも同然。僕たちはもっと大きな視点でものごとを考え、新しい物を造り上げていく転機にさしかっかているのだと思います。
ぶれない麻酔科医を目指す。一方、本田のブレ玉は好きな 平田学
2013年11月29日
トライアル
昨日病院機能評価の審査が終わりました。今回は手術室部長として初めて臨んだ審査でした。まだまだ不十分なところはありますが、何とか終わったという感想です。
本当に周りの方々に助けられました。やはり持つべきは仲間です。資料を細かく集めていただいた当手術室師長、そしてサポートしてくれた係長3人、またその他のスタッフの方々。また当医局員、審査時にフリーにしてくれたO先生、院内ICUおよび救急ICUの審査時に同伴解答してくれたM先生とY先生。その他の気を遣ってくれたその他の医局員。アドバイスをしていただいた上司の先生方、みんなに感謝しています。全く平然としていましたが、正直かなり緊張していました。
私は一匹狼としては働けないタイプなのでしょう。チームの中でないと機能できない。
12月になるので1年の総括をしていかなければなりません。なにより9月から最も責任ある立場になりました。これは今後も手術室の責任を担保する立場としてひたすら認識していかなければならない。麻酔科管理件数はというとこのペースなら年間4000件程度となり昨年度比+300件と一昨年以上となりそうです。黙々と働いている方々のおかげと考えます。心臓外科は大幅増加で開心術および開心術に準ずる手術は130件台、脳外科もスタッフが増え増加傾向となりそう。帝王切開は週4件程度。小児外科症例も週3程度を確保できると思います。
新研修制度が始まるため、プログラム作成を行わなければなりません。基幹研修病院となるためには条件が必要ですが、現時点では症例数はクリアしそうです。問題は専門医数ですが、現状では9人で何とかなりそう。但し今後1人あたりの専門医数が500例となるとぎりぎりとなるので、医局内での専門医の育成。また外部からの導入が安全域を確保するため必要となるかもしれません。この現状で基幹研修病院に立候補できればと考えています。
麻酔科の仕事に関してのさまざまな意見に対する考えも書きたかったのですが、出勤時間が迫ってきたので近日言及したいと思います。
平田 学
2013年11月25日
メソサイクロン
今日は昼から寒冷前線が通過し、天気が荒れそうです。
これに伴い気圧が低下するため体調を崩す方が増えそうです。
この寒冷前線が通ったあと(実はその次の前線が通過した後)強い寒気が入り季節は秋に終止符を打ち、冬となるそうです。今年の秋は本当に短かったと思います。
これだけ早く寒くなるということは今年も寒くなるということでしょうか?やはり偏西風の蛇行が激しいのか。日本近海の海水温はさがりつつありますが、危惧されるのは台風ではなく、温帯低気圧。最近冬場の太平洋岸を通過する低気圧の発達度合が半端じゃないように思われます。昨年は比較的寒くなってからいわゆる爆弾低気圧が発生していましたが、もし偏西風の蛇行が冬場の早い時期からおこれば、これが12月中に発生する可能性があるのではないか。問題は低下傾向にあってもこの時期の海水温は十分に下がっておらず、上空-海表面温度差が大きくなる可能性があること(偏西風の蛇行が強ければ寒気も入りやすくこれがこの条件に拍車をかける)。問題は12月となれば都市部の暖房使用率は冬本番とかわりなくなり、都市部近郊での温度差が激しく、条件によっては局地前線を形成する可能性があること。それに向かって南岸で猛烈に発達する低気圧があると北東気流の強い流入をきたす可能性がある。言いたいことはすなわち、このような南岸に猛烈に発達する爆弾低気圧があり、強い寒気を北に伴っている場合には、東京近郊の北東側、埼玉、茨城、千葉北部に非常に大気が不安定な局所地域ができうることです。これは何を意味するか、大気が不安定な上に低層には北東の強い気流、上空には強い北西の偏西風。方向のことなる偏向気流が存在する、これは冬場でもこの地域にメソサイクロンを生じうる、これに付随する可能性の多いスーパーセルを生じうることです。個人的な妄想かもしれませんが、今年は12月にこの地域で発生する竜巻に警戒しなければならないのではないかと感じています。
本日は月曜日、気合をいれて外来をがんばりたいと思います。
平田学
2013年11月24日
N.A.S.H
やらなければならない仕事もあり少し憂鬱です。
昨日はよく歩きました。食材探しにショッピングセンターへ。その後お酒を買いに六地蔵のやまやさんへ、今日はハイボールと決めていたので、念願の山崎を買いました。奮発してスタンダードサイズ。ボジョレーはやめてチリのいつもは飲まない銘柄に。そこから乃木神社まで前進。この神社も勝負事の神様です。藤森神社といい、勝負事の神様には恵まれています。乃木将軍は山口の出身だったのですね。お参りをした後、京阪藤森駅近傍へ、ここにはいがやさんのデリカ専門店があるのですが、昨日は牛カツをゲット。私はここのローストビーフも大好きなのですが、ハイボールと合わせるときは牛カツにしています。この後近くの無人野菜売り場で出始めたホウレンソウを買い帰宅しました。総距離8.5km超。いつも病院までが4.8kmなのでその倍近くです。早めに飲み終えるため17時からは飲食開始し、19時過ぎには終了としました。本当は22時まで頑張って起きているつもりでしたが、睡魔には勝てず撃沈してしまいました。
こうして深夜にブログ更新していること自体が体に悪いのかもしれません。作業はせずに、寝れなくても布団の中でじっとしているべきでしょう。液晶画面を見ることにより、覚醒モードに入ってしまう。
普段なら山崎の一杯でも寝酒にしながら無理やり寝るのですが、冷静に考えると非常に危険なことをしている。この時間以降3~4時間は私の交感神経が活発となり心血管系にとってはいわゆる受攻期にあたると思われますが、まさにその時にあわせて飲酒し、その結果として交感神経を強く刺激(適量なアルコール飲酒でも一時的に副交感優位になったあと、アルデヒドにより交感神経が強く刺激される、だから負荷酒?深酒したあとしばらくして夜中に頻脈になっているのですね)するため心血管系にとっては非常にリスキーなことをしている。それをパソコンの液晶画面を見ながら行っているとは火に油を注いでいる。
以上考察の上本日の深夜寝酒計画は中止いたします。NASH(non-alcoholic sedative hypnosis )です。口寂しいのでレモン水を調合摂取いたしました。
皆さんも深夜2時の全くリスキーな寝酒などせず、安眠いたしましょう。
追伸、本日の福井直送の石鯛の刺身は大当たりで、天狗舞の原酒にベストマッチでした。
ASH が心配の平田学(自己矛盾してるかも)
2013年11月23日
turn colors
今日も完全にオフの予定です。
明日は来週の機能評価機構の審査にむけて資料整備をしておくつもりです。
そろそろ4年目に入ったORSの検討について小規模なサンプリングをしてみたいと思うのですが。ORS施行-非施行で術直前、術中だけなら心拍数に差があるのは脱水の補正によるものと思いますが、術後も非ORS症例では心拍数が高い傾向にあります。手術侵襲による違いはありますが、非ORS症例ではCRPが術後高い可能性がある。単に循環血液量だけの問題ではなく、私には生理活性物質の関与が疑われてなりません。まず自律神経系の関与をはっきりさせるため心拍変動を調べればよいのですが、その測定器の調達さえ、一般病院ではままなりません。また血中カテコラミン値やRA系ホルモン、サイトカイン値を測ろうにも科研費もありません。ORSは単純であるためか、あまり臨床家からも科学的興味をそそられるものではないようです(まわりの若手の話を聞いても華がないと)。しかしこれほどコストをかけずに、ひょっとしたら予後にも関与するような手法について掘り下げない手はないと思いますが。ERASの一環としてだけではなく、ORS単独にもまだまだ興味をむけるべきと個人的には思います。
昨日の抄読会は専攻医のM先生。またお題目を忘れ申し訳ありません。ICU、24時間以上の人工呼吸期間を有する症例を選択。人工呼吸からの離脱→抜管前のATCあるいはPSをもちいたSBTはどちらが有用であるかを比較した論文。再挿管率等を比較していましたが、結果的にはアウトカムにほとんど差がないということ。
SBTの条件が甘すぎるのではないかという指摘もありました。ATCはチューブ抵抗を補正しているので、どちらかというと抜管後の状況を推定する方法。PSやTピース法はチューブ抵抗は相殺されていないのでこちらの方が厳しいと思われます。すなわち、より呼吸予備能のある症例がセレクトされる可能性があります。そうなるとATC法をクリアした症例とに予備能に差を生じてしまう可能性があるのではないでしょうか?層別化がおそらく重要で、呼吸予備能がもっとシビアな長期人工呼吸症例で比較すべきだったのかもしれません。
京都市内の紅葉はさらに深くなってきました。
ボジョレー-ヌーボーも解禁されましたが、飲み過ぎて私自身がturn redしないよう気をつけたいと思います。さらにすすんでturn blueして1日ブルーとなりませんように。
平田 学