2014年01月

2014年01月04日

win-win-win

よくある話。高校時代は勉強もしないのに、いつも成績はトップクラス。大数では訳の分からない問題を、いとも簡単に解いて名前が載っていた。もちろん現役で最難関T大理1へ。卒後は機械系の一流企業へ。ただ世の中には、上には上がいる。初めての挫折。また彼の性格からして、企業の規制の多い束縛はだんだん負担に。うつ寸前になったあと、30台半ばで辞職。原点回帰、自分はなにが好きなのか、数学が好きであったのは、想像から創造できるすなわち、無から無限がつくれること。ノウハウも知らないまま、彼は工学系のコンサルティング会社を立ち上げる。非常に苦労し、年収も下がったが、自らものを造れる楽しみには替えがたいと。人生で一番充実していると。

 私達麻酔科を取り巻く環境にこのような例があるでしょうか?確かにフリーランスの先生はいて、充実した人生を送っている人もいる。組合様の組織を作り、活躍している先生方もいる。ただほかの分野(産業)ではこのような立場の人の割合が多いことを考えれば、麻酔科を取り巻く環境が特殊なのもよく分かる。もちろん医療であるから、社会保障制度に裏打ちされているのは事実である。そうなれば、広く公平にという前提は、至極当たり前と思う。

むろん、私個人としては麻酔科フリーランスの先生方に対しては、良し悪しの判断をしていませんし、現時点ではできません。私の知り合いは人間的にも素晴らしい人ばかりですし、技術的にも一流。誠実さと誇りをもってやっている方に対しては、繰り返しですが、私個人的な意見としては、エールを贈りたい。問題はそんな真面目な彼らと同化している、プロまがいの一部の不誠実な人たちではないでしょうか?そのような人たちが引き起こす問題が、ひいては麻酔科全体の評価や評判を落とす可能性がある。また雇う管理者側にも問題がある。被依頼者が人格的にも技術的にも適正かどうかモラルをもって決めるべきだと思います。もし条件を飲まなければ、病院経営を脅かすよであれば、時間と労力はかかるでしょうが、その要因こそメスを入れる対象だと私は思います。

 フリーランス麻酔科が生まれてきた背景には、おそらく時代背景があるでしょう。医療界だけでなく、経済的にも失われた20の影響は強い。私達だけではなく、他分野の方々も停滞感を痛切に感じていたでしょう。その要因を冷静に分析しそれをフィードバックすることが自らの進化を促す上でも重要なのではないでしょうか?

 孫子は両極端を嫌います。自由化と組織化という対峙した2方向性をコントロールする上で、もし一方向性を目指すなら10倍近くの戦力差がなければ押し通せない。ただ単に数だけの問題ではなく、影響力も考えた上での数字でなければなりません。現状では無理だと思います。そうなれば綿密に分析し、お互いの利益がwin-winとなるようなポイントを模索すること、いやいや、肝心な顧客を忘れていました。最大の顧客である社会を筆頭にwin-win-winであるよう進めていくのが現時点では最良と私は思いますが。

 最近ではなくなりましたが、10年程前は、他病院から来られた術者の先生から「麻酔の先生どうもありがとう。」といわれました。即座に「失礼ですが、麻酔科医であって、麻酔医ではありません!」と言い返していました。最近では私たちが異常に噛みついたので、こんなこともとうとうなくなりました。ただ上記のような問題を自分たち自身で解決できないようであれば、また麻酔医と勘違いするような逆行術者が出てくるかもしれません。

私達自身の姿勢も問われてのだと思います。

 いつものことですが、私達は術者やメディカルスタッフを心から尊敬しなければならないし(しているつもりですが)、また彼らから尊敬されるような存在になければならない(こっちはちょっと自信ない)。と思っています。

                           平田 学



mh5963ya at 10:52|PermalinkComments(0)

2014年01月02日

元旦一人小読会

 元旦、暇でしょうがなかったので、読み物。ちょっと古いが、J.R.KluneらのHMGB1 preconditioning: therapeutic application for a danger signal? High mobility group box1(HMGB1)は核DNA結合タンパクで、多機能性で細胞外に放出される。重症敗血症の晩期マーカーであると同時にdamage-associated molecular patterns に関連する早期マーカーでもある。DAMPsに関連するメディエーターとしてあまりいい役割を果たしているとは考えにくいが、良い側面、preconditioningに関わるという一面もある。これについて述べられている。

 HMGB1は晩期炎症性サイトカインである。TNFIL-1に遅れて(612時間)ピークを迎える。活性化されたマクロファージから放出され、それ自体がTNFIL-1IL-6IL-8の単球からの放出を独立して促進する。

 一方HMGB1にはpreconditioning効果が確認されている。ネズミの肝虚血再灌流モデルで、その前投与は、虚血再灌流後のAST値や炎症性サイトカインの濃度を容量依存性に低下させる。

ではその機序は?preconditioningには早期効果と晩期効果が存在するが、前者に関連するのが、即時型リン酸化シグナリング分子、プロテインC、ミトコンドリアATP感受性Caチャンネルで、後者にはMg含有SOD、カタラーゼ、i-NOSHO-1などが関与するらしい。もう一つの強力な中心的役割を示すかもしれない機序はTLRsに関連するかもしれない。なかでもTLR4NF-κBを活性化し、炎症性メディエータや接着分子の放出を促すす。TLR4は転写下流においてNF-κBMAPKを活性化し、炎症カスケードを強靭にしてゆく。ここをIL-1R associated kinase(IRAK)-Mは抑制するらしい。ではHMGB1との関係はというと、HMGB1を前投与されているとIRAK-Mの濃度が上昇し、これが上記の機序により、抗炎症性に働くのではないかとされている。

 Preconditioning効果だけではなく、HMGB1は損傷DNAの修復に関わったり、血管新生にたずさわり、虚血組織の再生を促したりしており、臓器保護的に働いている側面も強く、リモデリングにさえ関与する可能性が高い。

 やはり諸刃の刃。コントロールするには知識が必要と。

 運動の話と似ている感じがしました。軽い運動は長期的には抗炎症性サイトカインの加齢による低下を軽減し、メリットを与える。激しい運動はどうでしょうか?炎症性サイトカインが上昇します。もちろん活性酸素種も増え、組織障害効果が全面にでるでしょう。好酸球さえあがり、気管支喘息が悪化する人もいます。では少し負荷がかかる程度の運動を間欠的に行うのはどうでしょうか?おそらく一時的には組織障害性側面がでるでしょうが、通常の状態なら修復されるでしょう。さてこのさいpreconditioningは起こっていないのでしょうか?私はエビデンスとなる論文を知りませんが、上記のHMGB1以外にもHSPなどpreconditioning効果をその一面としてもつものは多数存在するわけですから、運動というもっと様々な生理学的因子が介在する現象には、ある可能性の方が高いと思います。結局、正義の味方となるか悪の手先となるかは誘導のされ方にかかっているような気がします(NOも同じような話があったような)。これが本当なら、術前外来では、元気な人は軽めの運動を間欠的にしてもらう様お願いせなアカンようになるのでしょうか?ただ、経口補水と一緒で、安上がりか(逆に費用対効果が大きいかもしれないし、風邪ひかせたらあかんけどそこまで悪いことせんでしょう)

 

                      平田 学 んだ。



mh5963ya at 06:22|PermalinkComments(0)