2014年02月

2014年02月23日

金曜?土曜?もう日曜。

 2/21は抄読会ではなく、O先生に以前に在籍していた兵庫県立災害医療センターでの経験症例を提示してもらいながら、重症外傷患者に多するDamege Control Resuscitation”という題で口演していただいた。同センターはICU12床、HCU8床を有する独立型高度救命センターであるが、もちろん外傷患者の治療に関しても関西でトップ3にはいる救命センターではないかと思います。

重症外傷患者では、早期止血を目指すともに、輸液製剤の投与は可及的に最小限(おそらくfluid challenge程度とする)とし、積極的に血液製剤を早期投与を考慮すると。またその際のバイタル管理として、臓器血流が保たれる血圧下限、おそらく平均血圧で60mmHgを目安にするのが望ましいとの話。これはDAMPsにも関わる話と思われますが、外傷性凝固障害は古典的に考えられていた死の3徴のようなあまりにも漠然とした病態が主因ではなく、もっと侵襲病態()学的機序が主要因であるとの考えによると思われます。

侵襲により、重症外傷初期には線溶亢進型DICを併発しやすいといわれているので、これで、凝固因子が消費されるのもあるでしょうか?また受傷部は止血血栓や出血に対する生体防御反応として、細動脈攣縮を起こしていると考えられるので、阻血となっていると思われます。ということは、止血がなされれた後は再灌流はおこり、これに伴う再灌流障害がおこる可能性もあるはずです。この後炎症性メディエーターが主要な役割を担っていくのは当然と考えます。大量の輸液投与によってこの虚血再灌流障害が助長されると考えもあるようですが、これに関して、再灌流時に輸液製剤中心の管理と血液製剤中心の管理で予後の差があるというような論文を私は知らないので何も言えません。ただ虚血に伴うAKIも再灌流障害によりMODSを引き起こすことがありますが、輸液製剤中心と血液製剤中心の管理で予後に差があることを積極的に支持するエビデンスはまだないと認識しています。どちらかというと大量輸液による希釈性凝固障害が問題になってくるのではないかと思います。維持する血圧についても、もう少し検証が必要なのではないでしょうか?

重症外傷患者は医療者の最大の努力が払われ、最大限救命されるべきことはあたり前です。残念ながら、それにもかかわらず早期にお亡くなりになられるかたもいらっしゃいます。突然の死は家族にはなかなか受け入れられないでしょう。しかしながら外傷死を減らすために、失われた方からしか得られないものもあると思います。もし救急医、外傷医が誠心誠意をもってICを行い、家族のかたが今後の外傷死を減らすという目的に賛同され納得していただけるならば、また事件性がないケースという前提。血圧管理を含んだ治療に伴い止血血栓はどうなっていたのか等病理学的検索を行い、検証をさらにすすめ、外傷死0を目指すためフィードバックを繰り返してゆく必要があるのではと、個人的に考えます。

兵庫県立災害医療センターでは、大量出血が予測され、血型判定まで待てない重症外傷患者の場合、連絡を入れるとO型濃厚赤血球とAB型凍結血漿がすぐに出庫されるようになっているそうです。またその後の血型判明後も赤血球製剤と凍結血漿が定型単位ごとにセットとして出庫され、コマンダーが終了というまで続き、血小板製剤もある時点で含まれてくるというような話だったと思います。非常にresonableと思います。当院でも同様なシステムの立ち上げを各部門で調整の上、早期運用できればと考えます。

さて来週はICUの学会中ではありますが、TEEの勉強会の2回目を何とか行いたいと目論んでいます。試験出題範囲を調べるため学会ホームページにアクセスしてみると、2012年度(この時の試験には落ちました)の合格者数が出ていました。合格者数が269名でした。私の順位は289位。ということはこの20位分が勝負を決めたということになります。決め手はビデオ問題でした。対策があまりできていなかった。そんなにTEEをさわる機会が少ないようであれば、試験のある程度前からyou-tubeや問題集などで、見ることに慣れなることも重要と思います。また心臓麻酔関連の参考書を読むにあたって、ここでTEEがあれば、どういかせるだろうか?というようなことを想像しながら読んでゆくのもかなり役にたつのではと思います。

 

                        平田 学



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2014年02月16日

kick off

金曜日は慣例の抄読会でなく、今月末の集中治療医学会の予演。Y先生、簡潔にまとめてある。なによりも解析が明確。輸血量が予後決定因子の一つとの結論。ただマニックな先生もおられるので、鉄動態の予後への関与については聞かれる可能性もあると思いました。

 その夜は業務が忙しかったせいか、専攻医F君と二人きりのTEE勉強会となった。とりあえず、kick offしてみた。基礎の部分は自分自身相当苦手な分野で、もう一度まとめ直す必要性を痛感した。次回2週後はプローブの構造や消毒法についてもう少し基礎的なところをまとめたいと思います。なお前回参加できなかった方のため、第1回部分はもう少し掘り下げた後アーカイブしたいと思います。

 土曜日は個人的には院内幹部研修会に参加。グループミーティングののちプロダクトを作り、それを発表するというもの。私の持ち場は2025年に向けての長期戦略作成。同年には団塊の世代が後期高齢者いりする。36万ある急性期病床は9万の高度急性期病床に減じられる。まわりでは、病院のためあるいは自分たちのために、高度急性期病床を可能であれば全病床で獲得しなければならないという意見が多かった。確かにそのとおりである。しかし忘れがちな誰のための医療なのかは認識しなければならないと個人的には考えます。このような考えは嫌がる方も多いのですが、病院組織にとって顧客はだれか?もちろん患者さんです。私としてはここに地域、拡大解釈すれば地方を含めたいのですが、顧客のためすなわち患者さんや地方のため、高度で満足されるような医療を提供するため、当院は全力で高度急性期病床を確保しなければならないと理解しています。そのために何が必要でしょうか?一言で言えばにつきると思います。まるっきりドラッカーですね。ものを進めるにも当院にはお金がないからとか、お金をかりるための土地もあまりないからとか、ないないずくし発言を耳にします。しかし当院には軽く1000人を超える人材がいます。これが財産でなければ何でしょうか?今回の研修で感じたのは管理者が、より多くのことを下から取り入れようと努力しているように見えました。周りではただのガス抜きだという様な声が一部聞かれましたが、この機会をそのように考えるだけなら進歩はないと思います。この機会をチャンスにしてより下からの意見を反映させようとする姿勢のほうが建設的で、病院全体にとっても健全と思います。

下は関係ねーよでは今後は済まない。上が決定しているのではなく、全職員が病院の方針決定に寄与しているのだという考えをそろそろ全体で認識、共有すべき時代が到来したのだと私個人は感じています。繰り返しになりますが、これは顧客(患者さん、地方)のために。大部隊ほど指揮統制がとれていないと機動性が発揮できません。当院のような大部隊いや大軍団でどのようにしたら機動性を発揮できるのでしょうか?確かにトップダウンによる遂行権限の強化というのも手だと思います。しかしながらこれは上記の考えには反駁します。個人的意見ですが、これには統括マネージャー、個人では心配というのであれば統括マネージメント部を新設し、管理者の下に置き、各部門が権限(権力ではない)を委譲し、部門間の調整にあたらせるという手も考え得ると思います。そしてその担当はどの部門出身であっても良い。事務、薬剤、看護部門など。、何せ大事なのは部門間調整のため信頼できる人材に権限を委譲すること、そして被委譲者はもちろん各部門のためではなく、病院全体の利益(金銭的な面だけではなくすべての面において)を考え、真摯に職務を遂行する必要性があると思います。

 話が少し脱線しました。また個人的な意見。ロストゼネレーションで失われたものは何だったのでしょうか?資産?雇用?希望?もちろんそうでしょう。しかしながら最も失われてしまったものは人材育成の伝統だと思います。もちろん全部ではありませんが。不景気となり非正規雇用者の割合が増えました。そうなれば正規雇用者に対する組織内育成が不十分であった可能性は否定できないと思います。非正規雇用の採用が悪いと言っているのではありません。どちらかというと使う側の問題だと思います。将来自分の組織のため中核となって働いてくれる人材を苦しいなか我慢して育ててきただろうか?あるいは景気が回復した後正規雇用者として組織を支えてくれる有能な非正規採用者を将来を見据えて育ててきただろうか?今や私を含めて上記のロスゼネ世代が中間管理職となっています。逆に冬の時代の就職者ですから優秀なやつが多いとは思いますが、そんな世代が心して下を育てないと負のロスゼネスパイラルに陥る可能性があると危惧しています。

 このことは麻酔科をとりまく現状にも当てはまると思います。前にも書いたとおり、僕は優秀なフリーランスの先生を否定するつもりはありません。乱暴だが、他の世界でも流板がいたり流しの歌手(やしきたかじんさんもそうだったようですが)”が存在します。そのフリーランスの先生のなかには人間的にも立派な方もおり、業務の合間を縫って若手に麻酔科医として場合によっては医師としての在り方まで教えていただける先生もいます。ですから結論をいうと言葉は悪いが使う側の問題です。足らない部分補わなければならない→それには職員以外を当てれば楽である。しかい将来の展望を考え、人材育成を考えなければ、さらに苦しい状況を引き起こすのは間違いなく、場合によってはこれが病院経営にまで影をおとす可能性がある。何が言いたいのか?具体的には人材育成にあたる現職員の労務環境をできるだけ悪化させないよう、うまくパートタイム麻酔医を当てる。但しこれは若手の教育を阻まない条件で。そして院内、院外研修(場合によっては留学)を通して将来を担う若手、中堅医師のレベルアップをはかる。このようなバランスのとれたかじ取りが麻酔科管理者(責任者)には必要であると思います。

 今週の東京の積雪については大外れでした。低気圧の動きが非常に遅かったのと低気圧が予測以上に発達し、北東気流の関東への入り込みが強くなったせいと考察しています。がっかり。今週火曜から水曜にかけては南岸低気圧というよりは2つ玉低気圧型です。気温が高くなると考えるのでほぼ雨だと思いますが、はずれ癖がついているので、ひょっとしてまた東京大雪になったりして。八王子以西では降雪の予想でいきます。今年は本気で気象予報士を受けてみようかな?

 

                      平田 学



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2014年02月13日

如月半ばに思うこと

2015年度より麻酔科の専門医取得に関する研修プログラムが変わります。当院は基本的には府立医大と他関連病院の共同プログラムに応募する形を予定しています。その中で当院特有のバリエーションを可能なかぎり、盛り込んでいただくよう要望しています。最終案を吟味する段階が近づいています。

 その中では

1)    専門医試験に必要な知識と技術を確実に身に着け、またそれらを偏りないものとすること。

2)    私達専門医の指導実践を通して、専門医取得後の後進指導のためのノウハウを習熟させる。

3)    指導医(専門医)との関係構築をベースに、将来の麻酔科、集中治療、ペインクリニック、緩和専門医のためのさらなるコミュニケーション力の向上を目指す。

4)    他施設と協力し、特殊麻酔、場合によっては(基礎および臨床)研究を短期的に希望される場合はその機会を積極的に設ける。

当院としては以上を格子として研修を充実させてゆきたいと考えています。また時折

  疲れる場合もあるでしょうが、そんな時は私達指導医が支えとなれるよう努力したい

  と考えています。なにより、この美しい古の町が癒しとなるに違いありません。

   

  また天気関連です。東京でまた大雪かと報道されていますが、そこまで降らないと思います。一つは本日の昼の最高気温が高めに予想されていること。9°ここから積雪温度の2°以下に下がるまでに時間を要すること。2つ目に降雪開始が9時くらいであること。10時には2°を超えみぞれまたは雨になる可能性が高い。3つめに上空1500m-6°の等温線が先週の降雪時よりも北に予測されること。4つめに低気圧の通過経路が前回よりも北よりであること。以上より東京では積もっても少量で、昼から雨ではないかと思っていますが?西日本は低気圧にともなう雨(雪?)雲の通過時間が早朝から午前にかけてなので、気温が低ければ、前回と同様あるいはやや多めの積雪になる可能性はあると思いますが。明日は早めに家をでる必要がありそうです。

 

                         平田 学

 



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2014年02月09日

 さぼりすぎ

最近さぼり癖がついております。遅くなりましたが(2日遅れで)、今週の抄読会は専攻医M先生によるLong-Term Cognitive Impairment after Critical Illness. NEJ,3,2013 ICU入室患者のせん妄と神経学的な中、長期予後について。BRAIN-ICU研究。ザックリとICU入室中患者をCAMICUを用いて評価。せん妄患者においてその後の3か月、12か月後の実行機能、認知機能をRBANS等で評価した。結果的には術前併存症や年齢は中、長期的な神経予後に影響はなく、ICU入室中のせん妄期間が神経予後に関連していたという。鎮静に用いていた薬剤の種類にも関係なかったと。もちろん神経予後が違えば、トータル予後にも関わることが考えられる。術後の患者についてはどうか?併存症や年齢は関わりそうであるし、麻酔法に左右される可能性はないだろうか?1か月死亡率や入院期間についての検討はどこかで聞いたことがあるが、長期予後、より大事な長期ADLについてはどうか?揮発性麻酔薬による違いはどうか?セボフルランとデスフルランで差はないか?ロクロニウムとスガマデックスの出現で変わってきていないか?(高齢者において術後の遷延性筋弛緩が予後を悪くしていた可能性がなかったか)等につき興味深く思っています。

 

予想通り東京は大雪になってしまいました。今年の寒気の強さからすると2月の終わりから3月の中旬にかけても同様なケースを生じる可能性が高いのではないでしょうか?

先週京都では主に3回の降雪がありました。火曜日は冬型による降雪。寒気に伴う雪雲の発達は悪かったため、積雪までにはいたりませんでした。木曜の朝は小雪。これも積もるほでではありませんでしたが、数時間程続いたように思います。このメカニズムは冬型解消に近づき、風向きが北よりになるため、若狭湾からの雪雲が北から侵入しやすくなることによる、北高型。京都市内でも弱い雪が降ることがあります。そして金曜日、京都市内では2cmの積雪。ただ山側にある自宅周辺ではさらに多く、道路も真っ白でした。これは南岸低気圧型。京都ではこの3つの降雪パターン(JPCZに伴う雪雲が流れ込む、北高型、南岸低気圧型)があるように思えます。本日も北高型へ。気温が高いので雪の可能性は低いですが、しぐれそうです。

 

TEEの勉強会については継続性を考え、biweeklyに週内固定でしていきたいと考えています。できれば自分を含め、初心者でも印象に残るような内容にしたい。自分自身の勉強にもなるので、可能な限りわかりやすい資料を作りたいと思っています。

 

                       平田 学



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2014年02月02日

lemon tee

本日は勉強会用の資料を作る予定。TEEの基礎部分、超音波の特性を含めて。一番苦手な部分です。とっつきやすい初心者から研修医のための経食道心エコーⅡと講習会のテキストを元に作ってみたいと思います。果たしてまだ少しでも覚えているのやら。つらさで呑酸を飲み込みながら資料作りをしなければならないかもしれません。

 本日は昼から晴れそうです。フリーなので、買い物にでも出ようと考えています。本日は豚しゃぶ予定。Walkingをかね3時間程の予定。

 明日(月曜日)からは寒くなり、あっさては京都市内は夕方から雪の予報。先週は曇りの予報で変更されています。先週に比べ寒気の流れ込みが強いと修正されている様。JPCZが午後には山陰にかかり、夕方以降、その先端が東方に移動してくる模様、京都市内にも雪雲が流れ込んでくる可能性が大のように思えます。積雪するかどうかは午後以降の気温低下の度合いでしょうけれども、21時以降は積雪の可能性があるように思えます。木曜の天気も気になります。プチ南岸低気圧型型ですが、この東進に伴って、山陰沖近海に小さな低気圧が発生する可能性あり。南方の低気圧自体の雲はかろうじて京都市内にかかるかどうかというところですが、上記の北の低気圧が寒気を伴って(伴寒冷渦低気圧様に)発達すれば、場合により雷を伴うようなゲリラ降雪の可能性もありそうな気がします。問題は金曜日以降の南岸低気圧。気温が低ければ、西日本でも午前中は降雪の可能性、問題は関東。夜間の低気圧通過が予想されるため、通過コースによっては東京でも大雪(接近しすぎると雨の可能性も)12月に述べたように、低気圧の発達が予測されますが、後ろの寒気が強いので、発達状況によっては暴風を伴う悪天候をもたらす可能性があるのではないかと思います。

 とりあえずlemon teaでも飲んで(ビタミンC3時間で排泄されるので、理論的には分4で飲まなければならないが)、風邪を防止しつつ、休日を楽しみたいとおもいます。

 

                       平田 学



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