2014年04月

2014年04月23日

S島攻防戦

 昼は所用のため11時に一旦病院をでました。16時半に帰院してみると緊急2件がはいり、本日も炎上。研修医の先生の術前交代をしてゆくうち、要約落ち着いてきました。野戦化が進んでいます。こういう時は持久戦です。先に根を上げた方が負け。
 それはそうと、新専攻医もだいぶ頼りになるようになってきました。
I先生は大腸穿孔2連荘の洗礼を受け、オールナイト一番のり。さすがにヘロヘロなので返しました。またN先生は帝王切開の麻酔管理に引き続き、呼吸器外科手術管理。もう2か月もすれば、主戦力になっていきそうな勢い。できれば夏休みにはAAAにたどり着いて欲しいところです。

 研修医もまた頑張っています。T君。SASの症例にデスフルレンを使わせてみたのですが、彼の思い描く覚醒時間と覚醒の質を実現できたそうで、満足そうでした。彼は消化器外科志望ですが、そちらにいってもこの麻酔の面白さを忘れずに、私達を温かい目で見てほしいと思います。

 

 さて他施設のK先生から、最近ブログが荒れているではないかとの指摘あり。自覚はないのですが。気を付けます。

 

 4月になり定期手術は減った感があるのですが、その分緊急手術が増えている気がします。

外科系診療科の先生方には悪気はないのですが、さながら防衛戦様です。おそらく4月の初旬はどの病院でもスタッフの入れ替えが少なからずあり、緊急例はあまり受け入れないのかもしれません。

 

 4月当初はさながら硫黄島の様でした。本来は守る側がゲリラ戦を繰り広げるのですが、手術室では全く逆。但し私達としては籠城戦は大の得意。問題は補給線確保。当院硫黄島(麻酔科)には補給の要となる専用滑走路が1(surgical ICU)、共用滑走路が1(救急ICU)ここは死守しなければなりません。これらを失えば、大学や他施設からの補給路を失うこととなります。スマートではなくクレバーに立ち回り、相手方の絶対的な数的有利をつくらせないようにしないといけない。ただ守備側にとっては5:1以上の優位性を作らせなければ、守るのはたやすい。そうやって私が尊敬する栗林中将は圧倒的不利にもかかわらず、1か月以上も強大な米国の攻撃から島を守り続けた。必要に応じこちらもゲリラ戦を講じ、ダミーの滑走路を作って目をそらし、守っていかなければならない。問題は士気であります。私達の士気の源は京都で一番と自負するこの急性期病院を自分たちが支えているというプライドです。お金でもなければ、名誉でもない。信頼できる仲間とともに5年でも10年でもこのを守り続けるつもりです。もちろん指揮官である私は判断ミスをしないよう絶えず冷静であるつもりです。

 

 またこのような書き方をするとK先生にふざけ過ぎとつっこまれそうですが、ご容赦を。もしわが島の守備隊に志願していただけるならご連絡を(manabu-hirata@kyoto1-jrc.org)。

                                 平田学

  



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2014年04月20日

深夜の医療安全

 今週の金曜日も抄読会はスキップ。夜は全体医局会。懇親会ではだいたい同じ学年がテーブルに座るため、普段なじみのない診療科の先生方の学年を確かめるチャンスでもあります。また新任の先生方の紹介があるので、タレント性確認の場も兼ねています。

 懇親会に先だって総会がありました。ここでは医局会として取り組むべき課題を検討する場。私が申し入れさせていただいた、保育園契約の有限期間内取得とMEの増員案件について賛同を得ることができました。ありがとうございました。医局会としてはこれらを進めて行くよう上申していただけるとのことでした。

 懇親会では研修医の先生方とも話をしました。麻酔科志望の先生もおり、少し安心しました。なかには手術室麻酔に興味のある硬派の先生もおり、彼らのニーズに答えられるよう研修システムの強化が必要と痛感しました。

 明日は手術室運営委員会の小委員会。議案として縫合針紛失時マニュアルにつき提示したいと思っています。Nothing Left Behind: A National Surgical Patient-Safety Project to Prevent Retained Surgical Items にはA needle Algorithmが示されています。針の種類を大きな(>15mm)と小さなものに分類していますが、これは17mm未満の針には術後有害事象を引き起こした報告がないこと、10mm以下の針は単純レントゲンでほぼ見つけ出せないという理由からです。いずれにしろ探索後に発見できなければ患者にすぐにdisclosureすべきと述べています。

 日本の事情とは少し異なるかもしれません。私が進めたいのは、第一にoperatorと機械出し看護師の間で、針の受け渡し、受取り時に針帰りましたよ→針ありますの口頭確認を恥ずかしがらずに徹底すること。一時紛失例では声出しが遂行されていなかった事例が多いように思われます。第二に、紛失時には状態がゆるせば操作を止めて、すなわち緊急タイムアウトを実施すること。見つからない場合、基本的には麻酔覚醒させず、状態が許せば手術終了後も一定時間捜索を行う。それでも見つけられなければ、患者家族に説明を行うことです。CTは単純レントゲンより針のdetectionに関しsensitivityが圧倒的に高いと言われています。ただ患者の状態が良くなければCT室への搬送はリスクを伴うため十分なICと検討が必要となります。

 気になるのは術中の器具等の破損脱落。大蔵らは腹腔鏡手術時に針の先端部が破損脱落し回収した症例を提示しています。腹腔鏡手術は視野が狭く脱落した針を探査するのは容易ではない上に、針先部分の大きさでは単純レントゲンで映らず、CTが必要となると考えられるます。従って知らずに脱落して術後に判明するケースは開腹術より高確率となると考えられます。

 当院では閉創前に一種のタイムアウトであるカウントアウトを施行しています。上記をできるだけ防止するためにはカウントアウト時にもう少し時間をかけ、器具や針の破損がないかを丁寧に確認する必要性があると考えられます。

 

話は戻りますが、懇親会後は他科の先生方と飲み直し。そしてラーメンが食べたいとの総意でたかばしの第一旭へ、12時過ぎというのに30人程並んでいました。あきらめて4人でいつもの木屋町の大豊ラーメンへ。餃子+チャーシュメン with Beerでしめて帰宅しました。珍しくいつもの大豊時間より3時間も早く1時に。この3時間が私自身の医療安全につながるかもしれません。

                        平田学 



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2014年04月13日

始発前の築地

 現在、日曜日の午前348分。東京の高層ホテルの一室です(とはいっても私が泊まっているのは低層の5階、かつ東京タワーと反対側)。本来なら再開発された東京駅周辺で、ショッピングでも楽しんでから帰るのが良いのかもしれません。あるいはせっかく東京に来ているのだから、もんじゃ焼きでも食してから帰るのがおつですが、おっさんのひとりショッピングも一人もんじゃも気持ち悪いのでやめておきます。ではどういたしますか。今日のコンセプトは日曜日を有効に使うこと。5時半には築地に行って寿司ざんまいでアナゴだけは食って早めに帰洛するつもりです。前も院内で質問がありましたが、帰洛というのは造語ではありません。辞書にも載っています。

  振り返れば今週も充実した1週間でした。一人スーパーバイザー(研修医1年目がまだデビューしていないので、原則一人指導体制です)でしたが、夜中は緊急開心術のため、オールナイト。管理は専攻医のM君に任せ、私は時折休息。というのは翌日も朝からデューティーがありました。朝一で周産期センターにて専攻医F君の指導。手術室に帰ってきて小児の麻酔。じつはこの症例は先週の重症症例検討会で、挿管困難の可能性があると私自身が指摘した症例。スローもどきで導入、開口し、喉頭鏡をかけてみると案の定咽頭腔が狭い。しかし展開は何とかでき、コーマック分類上も2°であったので、筋弛緩薬を使わず挿管しました。そして昼からもう一例こなして帰宅。ビール1本で寝れました。翌日は他府県出張、そして翌日麻酔デューティー後、ICU当直へ。深夜には目をしばしばさせながら抜けた“A”の再挿入。以前であれば抜けた”A”は、状態さえ落ち着いていれば朝になってからいれよかでしたが、いわゆるスーパーICUを許認可していただくため基準上、術後のAラインはほぼ必須となります。そして明けてというか明けず、翌日。医局会を終え、麻酔導入手伝い、その後事務的雑用をこなして、普通ならここで古いですがバイナラ。この日はポリクリがあり、3時半までお付き合い。最後に雑用をこなして帰ろうとおもったら、ショック症例の申込み。当日オンコールのバッカス先生はすでに緊急のDVR+TAPをしており、緊急対応番はなしの状態。本当にこの日もまわしが大変だったのですが、ここで受けないとと男が、もとい、おっさんがすたると思い志願しました。M副部長アシストのもとバスキュラーアクセスを挿入。手術開始となりました。原因解除と、ボリュームバランスがとれてきたせいか手術終了時には尿量は確保され始め、またノルアドも中止でき、ICUに移送しました。

 まあ人並に忙しかったので、早朝に築地で寿司を食うことぐらい大目に見てくれるかな?また来週もなりに働きますので。

来週は病院全体の医局会があります。そこで病時保育を含む契約保育園の早期確保と、MEの増員について提案したいと思います。高度急性期病院を目指すうちにとっては、要の女性医師(およびイクメン)、看護師、MEの安定した確保は第一優先と思います。また変わり者のあいつがうさんくさいことを言いだしていると嫌がられるかもしれませんが、気にせず頑張ります。

 経度の関係でもう東京は空が白み始めています。それではご機嫌よう。

 

 追伸

 結局、築地には6時前に到着しました。一目散に寿司ざんまいに向かいましたが、意外にカウンター席は満席。半数以上が外国人でした。まず、生ビールをたのんで、まぐろ好きの私はまぐろざんまいセットへ。これは一人には少しヘビーです。大トロ、中トロ、赤身、ネギトロ、鉄火、あぶりが各2貫以上で3000円。リーズナブルです。もしここまで多く食べたくなければ、まぐろ3貫セットがおすすめです。もう一杯生のあと、東京に来たら食べなきゃならない上アナゴを八海山の冷やに合わせ、うに、イクラ、カツオ、サーモンを食べたあと、熱燗のあてに玉、イカの塩辛を選んで終了。しめて7000円程でした。

 一応土産に東京バナナのレーズンサンドを土産に買ったあと新幹線に乗り込みました。定番の新幹線ビールによるうたたねの合間、静岡あたりの山桜が非常にきれいでした。ここで下手な一句。

 

  散り惜しむ 紅雪と見ゆ 山桜

 

 帰ったら関西らしく本日の主食はお好み焼きを予定。静岡風に沢庵をいれてみます。

酒のあてはカツオ。もう少しゆっくりして来週もまたがんばりたいと思います。

 

  初カツオ 土佐の里藁 初夏燻す

 

平田学

 



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2014年04月05日

川端で花見

昨日は医局会の日。最初に抄読会から。今回は専攻医F先生。Anesthesiologyより。

Greater Incidence of Delirium during Recovery from Sevoflurene Anesthesia in Preschool Boys. 少し古いですが、なぜ彼がこの論文を選んだのかというと、小児麻酔時の抜管後のagitationに彼が悩まされており、解決法を模索中であるため。この論文では鼠径ヘルニア等、仙骨ブロックで鎮痛の得られる手術を受ける男児を、就学前の群と以降の群に分け、仙骨ブロックで鎮痛を得ながら、セボフルランとハロセンのいずれかで維持を行い、その4群間で抜管後のせん妄?を比較したもの。結論としては就学前のセボフルラン群でせん妄が多かったという、あたり前といえば当たり前の結果です。ただ問題点がある。男児に限定されているため、就学前後の児の精神発達に関して補正されていない点。おそらく男児のほうが、就学前後での精神発達の差が大きいと考えられます。

 まあ彼が色々と資料を集めて、小児麻酔の覚醒時のagitationを少しでも減らせるようマニュアルを作ってくれればありがたい限りです。

 夜は4月から来てくれた2先生の歓迎会。という三条川端を下がった焼肉屋で開催しました。なぜここかというと、ちょうどこの日が満開であったのと、席からその桜が間近で見られるため。

 N先生はもともとベテランの外科の先生。滋賀県の病院から移動されました。外科専門医や関連資格を複数持っている。ただ将来的には麻酔集中治療を中心にやっていきたいとの希望と。ですから当科では麻酔専門医を取り、また集中治療専門医をとれるようサポートしていきます。4年計画です。一方兵庫県北部で前期研修をしてきたI       先生。3年目です。彼は救急や集中治療に興味があるとのこと。まず麻酔科専門医を取得するよう修練していただいた後、彼の希望に添えるような道筋を提示してゆきたいと思います。

 両名とも集中治療に興味をお持ちなので、より多くをそちらに割ければと考慮してゆくつもりです。宴会の途中で話題になったのは、今後の専門医制度について。O先生は麻酔科出身だが、多くの救命センターを渡り歩いてきた強者救急専門医。上記二人と同様集中治療専門医取得希望。将来的には救命センターのICUでやっていきたいとのこと。ただ救急科専門医も麻酔科専門医も一階部分。O先生的には2階部分が一つしか認められなくなれば、、麻酔科専門医をあきらめると。私の場合は本意ではないですが救急専門医をあきらめるつもりでいます。I君出身の病院は救命センターが有名で、その影響もあり、救急医療にも従事したいと思っているとのこと。ただ麻酔科専門医と救急科専門医が原則同時取得できなくなるので、非常に悩ましいとのこと。

 地方で救急医療に従事したいと思っても上記のような制限がある。その上救急専門医単独で働いてゆけるポストは非常に少ない。救急医は外科出身、麻酔科出身、小児科出身等、窓口が広いのが特徴で、それにより人材が確保されてきました。今後の方針によってこの特徴が失われ、救急専門医が減ることがないよう希望しています。

 

 さて桜も散り始めです。散ってしまっても悲しむ必要はありません。来年の開花のための準備にはいったというだけです。両名の満開の姿を映えさせるよう、しっかりと準備してゆくつもりです。

 

            ゆーるりと 流れる桜花 海いづこ

                  

                          平田学



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2014年04月01日

七分→満開

4月が始まりました。

今日は医局員みんなに感謝したい。新人研修もあり、人手はきつく、無理をいいました。

まずは専攻医F先生。直明けであったのに、昼過ぎまで麻酔管理をしてもらいました。

申し訳ない。直明けの麻酔管理だけは避ける方針であったのですが。いやな顔もせずやってくれました。本当にありがとう。次に昨日のオンコールで、遅くまで働いてもらったのに、朝から緊急手術、昼からは小児、そして消化管手術の引き継ぎと3件もやってくれたM先生、ありがとう。そして今日のオンコールのバッカス先生をはじめ、タイトななかもくもくと仕事をしてくれたスタッフの皆さんありがとうございました。M君、ハプニングもあったけどロング手術の管理ありがとう。ベテランのF先生も小児を管理していただき、すみませんでした。ICUの当直引き継ぎを待ってもらったM副部長もありがとうございました。黙々と仕事をこなしてくれた先生方、そして手術室スタッフのみんなに感謝したいと思います。何とか今後も手術室、救急ICUgeneral ICU、緩和医療とも関与して行きますので、どうかよろしくお願いします。

 私のできることは、医局を束ね、少しでも先生方の負担の経るよう、汗を流していくことだけです。医局自体は七分咲きとなりましたが、満開となる日を一刻でも早くできればと思い、努力してゆきます。どうか御助力をよろしく。何せ今日はありがとう。明日は私がサポートにまわりますので、O先生多少はお気楽に?

 

   七分咲き 山雀の声 衆集う

 

                    平田学

 

 

 

 

 



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