2014年07月

2014年07月26日

 緊急帝王切開勉強会

今週の勉強会は、現在麻酔科研修(2回目)をしていただいている産婦人科M先生。専門にしている産科に関して、帝王切開となる産科救急疾患につきミニレクチャーをしていただきました。

超緊急・緊急・準緊急帝王切開の分類とその定義について。例えば超緊急切開は遂娩決定から児娩出まで30分以内で行う必要性がありますが、そのためには術前の導尿はせず、麻酔科同意書は事後となるというルールがあります。夜間は院内ICU当直が麻酔管理を行うことが多くなりますが、状況によりフルストマック下の気道確保を必要としたり、母体大量出血の可能性があり、当直医も超緊急帝王切開に慣れていなければいけません。

基礎として胎児心拍モニターについて話されていましたが、そのパターンと徐脈グレードについての説明がありました。グレード5は超緊急になる可能性が高いと理解しました。

また常位胎盤早期剥離、子宮破裂等各論にも言及していただき、非常に興味深く聞きました。超緊急帝王切開の麻酔管理については、ナイーブな問題もはらんでおり、その安全策について私達は精通し、かつ普段からのシミュレーションが必要であると考えます。

夜は周術期体液栄養管理研究会へ。”ERICU診療を深めるの著者K先生の講演。DICARDSsepsisについて概説されていましたが、そのもととなる知識量が多さと症例検討の緻密さに驚愕しました。本当に話上手かつ話好きの方で、30分延長してマシンガントークを披露していました。すべらない話にでてもやっていけそうなパーソナリティーです。

会のあと、S先生について5人で、町家を利用したバーへ、確か御池麩屋町のあたりだったような。小一時間ほど涼んだ後、僕はこの日はそばと決めていたので、花見小路のそばやへ移動。但し金曜日で、もう祇園祭りは終了しているはずなのに、周りが騒がし過ぎ、店にはいる気を失いました。暑い中頑張って、先斗町に移動、公園まで上がったところで、西にいり、なんとか閉店間際の老舗のそばやへ。ここのそばは、場所柄値段は少しお高めだが、京都そばにありがちな白いそばではなく、そば粉中心の歯ごたえのあるそばで私の好みです。ここで板わさをあてに冷や酒をやりながら、そばを待つ。少しお酒は残してきます。そばは冷たいそばを選び、やまかけそばにしました。そばとやまかけ、汁を混ぜたあとずるずるとそばを平らげました。残ったとろろをちびりちびりやりながら、残りの冷や酒をやるという形で完食。本当はこの残りのとろろにネギとみょうがの刻みを入れたいところでしたが。スタミナ回復には役立つ夜そばでした。
 現在の急性期医療を取り巻く環境は急激に変化しており、もちろん関連する集中治療領域のみならず中央手術部の管理にも関わっています。このような情勢の中、私が所属する麻酔科学会の中長期方針やや教育、専門医制度等の重要案件は間接的に見えても最終的には後期専攻医を含む会員全体に影響すると考えます。このような重要事案の審議には非常に興味があり、また自身が参画することにより、全体の利益に貢献できれば、すばらしいことと考えています。そのような立場から評議員候補に手を挙げました。興味のある方はDaturaの評議員選挙欄を閲覧していただければと(ありきたりの表明文しか記載しておりませんが) 考えております。

                                                     

                            平田 学



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2014年07月20日

カエルがなくから帰ろう

今週の勉強会は抄読会という形ではなく、M先生によるAPRVのミニレクチャー。

ARDS治療の有力人工呼吸モードであるAPRVは今年に入って3回目のテーマ。これは救急ICUでも早期から同モードが利用されることが多いが、その設定につき同当直から院内ICU当直への問い合わせが増えていることを受けてです。内容は具体的で、P-highT-highT-lowなどの初期設定やその根拠。またウイーニングについての概説もありました。このモードについてはPCO2に関して、ややpermissiveに管理を行うことが多いと思いますが、当科ではもちろんPH指標で、7.15から7.2までは容認していることが多いようです。

 私的には金曜の当直の後、土曜は愛知の実家に立ち寄り、墓参り。ほとんど2時間程の滞在ののち、聞きたかったHESの講演会へ。小竹先生の術中目標指向型輸液管理についてのお話は非常に興味深いものでした。明日からでも研修医の輸液管理に応用できそうです。

ボルベンの分子量は13万であり、その代謝時間、代謝経路を考えれば、腎機能障害を起こしにくいはずです。それに関しては、宮部先生の講演でも触れられていました。ではなぜ多数の研究により、敗血症で腎を含めた予後を悪くするといわれているのか?一つの仮説ですが、HESは投与により尿の粘性度があがるといわれており、それが通過障害を惹起し、ひいては尿細管障害をひきおこすのではないかとの考えがあります。そうなるとGFRが落ち、乏尿となれば血中の炎症性サイトカイン濃度が急上昇、MODSが悪化するというシナリオが成り立ちます。また近位尿細管自体が炎症性サイトカインの分泌組織でもあり、

炎症の強い早期障害時には、返って炎症性サイトカインの分泌が誘導されることも考えられ、それがmalignant cycleに関わるとも考えられます。ただボルベンの分子量は13万であり、上記の研究で使用されたHES20に比し十分に小さく、代謝もHES20にくらべれば早く、またその代謝産物自体の分子量も十分に小さいので、臨床的にはあまり問題にならないのではないかと考えます。尿粘性度を上げないため、いわゆる“抱き合わせの輸液を適正量使用すれば、容易に回避可能と考えます。

 懇親会後、ちょい外出し、ちょいグルメを楽しみました。ちょっとしょっぱいトルコチーズをあてにそれによく合うといわれているヤクをたしなみ、しめはあんかけスパで。こちらの出身ですが、これは食べたことがありませんでした。ただその胡椒ベースのスパイシーな感じは昭和50年代の味で、初めて食べたのに、何か懐かしさを感じました。

 僕は甘いものはあまり食べませんが、一つだけ気になって買って帰ったおみやがあります。青柳ういろは大須ういろと並んで名古屋を代表するういろの一つです。その青柳総本家が出しているカエルまんじゅうがめっちゃcute! このキャラはかつて青柳が提供していたスポット天気予報のアニメにでていたカエルではないかと思います。この天気予報と言えば、シロ、クロ、抹茶、あずき、コーヒー、ゆず、さくらの七色ういろをpromoteしていました。まるでレインボーマンのような7色に興奮したのを覚えております。懐かしきよき時代です。これとともに京に無事カエリたいと思います。

 平田 学



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2014年07月13日

メインエンジン

 さて遅くなりましたが、先々週および先週の医局勉強会はICUにおけるターミナルケア

のありかたについて、緩和医療内科のF先生、ICU責任者のM先生に続けてレクチャーしいただきました。集中治療医はターミナルケアに際し、医学的、法的、倫理的に適正な判断をおこなわなければならないのは当然でしょう。治療の手控えについては患者の意思にもとづくべきではあるが、それを表示できない場合、家族の同意が必要となります。しかしながら数時間から数日中に家族が突然なくなるであろうと宣言された家族にとって、冷静に話を聞くのはかなり難しいことでしょう。家族へ敬意をもって丁寧に説明するしかないのは明白です。その上で大事な人を亡くしてゆく家族に対する心のケアが、その後の家族の社会的な立ち直りにも役立つのは当然と思われます。ICUにおける終末期医療を主導する集中治療医はそいった意味で、ヒューマニストである必要性があります。

 今週の勉強会はバッカス先生の”PAD”ガイドライン。人工呼吸患者の鎮痛は重要ですが、

施設によってはいまだ重要視されていないのが現状でしょう。ただ人工呼吸下の患者は原疾患の影響で過大なストレスを受けてる可能性が高く、鎮痛による交感神経系の抑制は必要であると考えます。硬膜外ブロックによる鎮痛にも言及していましたが、多発外傷や重症敗血症等では凝固機能が破綻していることも多く、適応が限られると考えます。

凝固障害が存在しても比較的施行しやすい浅部ブロックは言及されておらず、これがどうなのかは興味があるところです。Agitationについては当たり前となってきていますが、RASSSASによる評価の重要性について概説しくれましたし、せん妄については、生命予後と非常に相関するため、その評価、予防が重要であることを説明してくれました。

 麻酔科学会専門医制度が変わり、それに伴い研修プログラムも変更となるため、来年度の麻酔科志望の新後期研修医予定の方々は少々戸惑っているに違いありません。来週は3名の研修医の先生が見学にきていただくことになりそうです。当科の研修体制や当科とリンクしている府立医大プログラムについてのメリットとともに、状況によってはデメリットになるかもしれない点についても実直に、つぶさに提示したいと考えています。ただ当科にとっても若い人材による牽引は最も重要なメインエンジンであると考えています。ICU、救急を含む関連分野のカバーという点を視野に入れれば、多少の過剰人員については病院側と交渉できると考えています。

                       

平田 学



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2014年07月10日

軽くシャンパン

 先週土曜日は昨年も施行されたChanging Practice of Anesthesia、通称Chanpan、今年は兵庫医大でおこなわれました。元々はUCSFで関連病院のレジデントのスキルアップのために行われ始めたのが原型で、それを導入したとのこと。うちからは専攻医以下2人参加しました。私は午前中用事があり、14時にやっと京都を出ることができました。DAMについてのセッションが非常に勉強になったとのこと。私的には最後にみせていただいた高機能マネキン-麻酔シュミレーターが興味深かった。薬物動態も組み込まれており、エフェドリンを投与すると、投与量に応じ、循環動態が変動する。またマスク換気がうまくいかないと呼気終末二酸化炭素分圧波形が描出不良となる。非常に精巧でした。これを研修医ロテート前のABCに使えたらどれほど有効だろうかと考えます。また色々なシチュエーションが作れるそうなので、メガコードにも応用できそうです。来年度は福井開催の予定で、冬になりそうです。

 夜はとよさんに集合。私は2年ぶりでした。久しぶりにうまい魚を豪快に食べることができました。とよオリジナル島焼酎も美味でした。

 さて週明け。私は総合面接しか参加しませんでしたが、5年ぶりの救急機能評価の実地審査が終わりました。指摘された講評も麻酔科、集中治療部門が救急領域とのさらなる連携を考え、実行するためのヒントにつながるのではないかと実感いたしました。ひとまずご苦労さまでした。

                            
                                  平田 学

 



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