2014年08月

2014年08月31日

短編


 先週の抄読会は
I先生の関西地方会の予演会に差し替え。なかなか面白い出来に仕上がっていました。夜は大阪で催された研究会へ。呼吸がテーマでしたが、うちからはM先生の発表がありました。もう私が会場に着いた時には質疑応答が終わろうとしたいました。

 土曜は大学の同級生のI先生と来年京都で行う予定の同窓会の打ち合わせ。I先生おすすめのあと村へ。ここにさせていただく予定で話を進めました。床の利用も交渉しており、暑さが少しましの8月末になりそうです。ハモがうまかった。またとモロコシの天ぷらも絶品でした。2次会の場所はというと、祇園白川のよっしゃをお願いしようかと思い、いってみました。よっしゃはバブルの香がするデザインが残るバーで、うちの心外がよく利用しています。ただもっともよく入り浸っていたK先生は北部に転勤になっているので、マスターがちょっとさびしがっておりました。

 日曜は昼から明日からロテートしてくる研修医の先生へのABCコース。気道確保、麻酔器の操作方法を中心に実践、エアウエイスコープやマックグラスを使った気管挿管に非常に興味を示してくれました。明日からの実践にいかせそうです。

 

                 平田学

 



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2014年08月23日

生きた化石燃料

 今週の抄読会は今月ICUをまわってくれたN先生。JAMAから” Dexmedetomidine vs Midazolam or Propofol for Sedation During Prolonged Mechanical Ventilation.

Two Randomized Controlled Trials” ざっくりと無作為二重盲検多施設試験で、24時間以上の鎮静が必要な人工呼吸症例をミダゾラム対デクスメデトミジン、プロポフォール対デクスメデトミジンに割り付け、RASSを用いて評価された目標鎮静域達成時間、人工呼吸期間、痛みの程度を伝える疎通性、ICU在室期間、入院期間、死亡率を比較したもの。

長期人工呼吸患者の軽度から中等度の鎮静コントロールおいて、プレセデックスはミダゾラム、プロポフォールに比し劣っていることはなく、疎通性については明らかにプレセデックスが優位であったが、ICU在室期間、入院期間、死亡率には差がなかった。

DEX使用であっても鎮静不十分であれば、他のamnesia効果を持つagentをレスキューとして使用可としています。大手術直後の不安定な時期はDEXを主とする鎮静は難しいのではないかと思いますが。術後の患者について言えば、単剤メインというより、bridgingが重要なのではないでしょうか?

麻酔の方はというと、LMA管理時にagentとしてのデスフルラン使用経験を重ねて行っています。もちろん筋弛緩薬は原則使用しません。導入時にスパスムが生じやすいとよく聞きますが、静脈麻酔薬を若干多め、またフェンタニルを上手く使えば問題ないと個人的には思います。ただLMA挿入時の呼気デスフルラン濃度が6%以下ではやはり、麻薬をいれてもスパスムを誘発する可能性が高いため、もちろん一時的ですが、吸入濃度は8%超としています。術中、もちろんレミフェンタを併用します(僕は経験なく、聞いた話ですが、TKAなどで強い振動刺激が加わったときに鎮静不十分な場合はその刺激でスパスムを誘発する可能性があるそうです)すが、フェンタニルメインで、レミフェンタは補助としています。吸入濃度もやや濃いめ。いまだスパスムの経験はありませんし、やや深めの麻酔ですが、覚醒遅延もありません(一応フェンタの効果部位濃度予測はしています)

麻酔科たるものたまには麻酔をしないと化石になってしまいそうです。化石も燃料で使われるなら価値がありそうですが。

 

                            平田学            

 

                



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2014年08月18日

道との遭遇

 前回の投稿文の終了が疑問文で終了していましたが、やはり送り火は見られなかったという回答におわりました。昨年も見ることができませんでしたので、これで2年続けてみていないこととなります。見られるどころか、自分のオンコール時間帯に入る直前に、緊急を申し込まれ、終了してみれば午前1時を回っていました。幸いその後の呼び出しはなく、つかの間の休日に突入しました。昼に買い出しに出たあと、久しぶりのワインにありつき、夕刻までがんばりました。さすがに休まなければ、体調を崩すだろうと珍しく自信を気遣い、ちょっと昼寝のつもりが・・まどろむだけならよかったのですが、本格的に熟眠してしまいました。また昨日と同じ午前1時です。ちょっと深夜のコンビニに散歩がてら行ってみよう。確かにこの時間にコンビニを訪れることはあるのですが、大概は宴会の後ですので、少しお酔いのことが多いはずです。従って冷静な目で深夜のコンビニを見る機会はあまりありません。そう思うといてもたってもいられず、学生時代のようですが、コンビニ探検に出発しました。思い返せば4回生のころでしょうか?試験はいつも一夜漬け(今も変わっていない)でしたが、やはりこの午前1時くらいに起きだし、虫の音を聞きながら、丸暗記したのを思い出します。家の外に出るとすでに秋の虫の音。不思議なのは深夜なのにセミの鳴き声もする。深夜帯ではすでに秋、セミはまだ自分の座を受け渡したくないのでしょうか?見上げれば、昼間の曇天が嘘のように星空。といっても京都の夜空には10程の星しか見えません。星かと思うと点滅、移動する光の航跡。残念ながらUFOではありません。高高度を飛ぶ深夜便でした。あとでflight radarで確認したのですが、これは羽田発のカタール航空便の可能性が高い。東京は便利ですね。この時間に羽田からの中東便がある。関西にもありますが、KIXまでいかなければなりません。墓地の傍らを通り、寂しい道を降りて行くと昔ながらの峠の道に出ます。この時間上ってくるのは、タクシーばかりです。ひょっとしたら大石内蔵助が帰り道、酔いながら登った峠道、明智光秀が態勢を整えようと坂本に帰ろうとした峠道、竜馬も身を潜ませながら通ったかもしれない峠道をいそいそとコンビニに向かい到着。客は自分ひとりでした。付け加えになりますが、通説によると上記の3氏が通ったとされる道は稲荷南方の旧東海道と言われていますが、身を隠す立場の3氏がそのようなメインストリートを行くはずはないと私は思います。さらに一本南にそれたこの道こそ彼らの通り道と信じたいと思います。深夜であってもこんなことを考えながら道を歩けば、楽しさ百倍です。

 本当は自分自身が後期研修をすると仮定して、どのような研修がしたいかを想像力をはたらかせて、書いてみたいと思っていたのですが、うれしいことに眠くなってきたので

本日はやめておきたいと思います。

昨日は大枚をはたいて白州をかいましたので、これに合うひねどりをあてに、超贅沢な、白州のハイボールを1杯だけやって再び眠りにつきたいと思っています。

 

           秋虫の勢いねたむ隠れ蝉      平田

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2014年08月17日

 大文字焼きではありません。送り火です。

 本日は送り火の日、先週の土曜のような忙しさなら病院で見ることになるのでしょうか?京一からは実はかなり多くを見ることができます。右は山に隠れてたしか無理ですが。

ヘリポートに行けばよく見えるでしょうが、行ってはいけません!

 昨日の医局会での抄読会はM先生。”Prolongation of QTc interval after postoperative nausea and vomiting treatment by droperidol and ondansetron.” まず、M先生よりPONVについて疫学、機序、治療についての概説。欧米ではPONVの治療薬としてはondansetronはメジャーであるようです。恥ずかしい話、ondansetronQTを延長する話はあまり知りませんでした。結局投与によるQTの延長は同程度であると。そうであれば、まるっきり適応外であるondansetronを使用する意味合いはあまりないのではないか?ドロペリドールはTDPを起こしうる薬剤として有名です。従って術中いつ投与すればよいかが議論のまととなりますが、1mg以下の少量であれば、この論文では手術終了間際が一番PONVの予防効果もありよいのではないかとの結論。問題は投与後どれくらいQTを延長しうるかという点。2時間までとあるので、個人的にはこれを術中の観察期間に含めたいと、すなわち手術終了前2時間には入れておきたいところですが、これにはY先生が反論。多施設試験で、ドロペリドール投与によるTDPは皆無であったとのこと。Risk vs Benefitを考えれば、終了間際の投与がやはり良いのではないかと。結局当科では、終了間際に投与し、病棟ではECGモニターを注意して観察となりそうです。

 研修医の先生にはいじわるな質問をしてみました。「麻酔中のQT延長をきたす代表的増強因子はなにか?」一部の薬剤という回答はでてきましたが、低体温は挙りませんでした。最近は皮膚温もモニターして管理させていたので、ちょっと残念でした。

 本日はICUの日勤で、17時以降はオンコールです。はたして送り火は見られるのでしょうか?そもそもこの豪雨のなか送り火は決行されるのでしょうか?

 

                     平田学



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2014年08月13日

術後疼痛懇話会

8/8は術後疼痛懇話会に参加しました。盛況だったらしく定員を上回るほどであったと。当科からはF先生が硬膜外麻酔の術後鎮痛効果についての臨床研究について演題を出しました。後ろ向き研究なので、フロアから方法についての突っ込んだ質問がありましたが、F先生、大学のA先生の援護もあり、何とか切り抜けました。ミニレクチャーは疼痛緩和医療部のU先生acute pain serviceについての概論とトピックスについてのお話が前半戦。コントロール困難な術後痛へのトラムセットの使用にについては、慢性疼痛に対する対処薬という認識しかないので、目からうろこの話でした。後半では留学していらっしゃったMGHでの話をはなされました。建物を含め、すべてがアメリカンサイズで、まさにメガという形容に値するものでした。特別講演は鹿児島から来ていただいたH先生。術後遷延痛と創傷治癒についての話。H先生のお話によると、術後疼痛コントロール結果は、ある意味術中疼痛コントロール結果の投影であると。すなわち術中鎮痛の質が低ければ、それが術後の侵害受容性疼痛に関連し、状況においてはそれが神経因性疼痛をも惹起し、これらが術後遷延痛の主な要因になりうるとのこと。従って術後の局所での炎症抑え、まず侵害受容性疼痛を抑制することが肝要となるようです。硬膜外麻酔が奏功すると、確か脾臓の副交感神経終末が刺激され、抗炎症性マクロファージが活性化されるというような話があったと思います。H先生によると、神経ブロックや硬膜外麻酔は副交感優位とするため、創部局所での炎症性マクロファージの誘導を抑え、抗炎症性マクロファージの誘導を促進し、局所炎症を鎮静化するとのことです。これにより、侵害受容性疼痛が抑えられ、ひいては術後遷延痛の発生頻度を抑えるものと考えられます。

 ざっくりと考えてみると、硬膜外を併用した症例で、術中の効きがよかったケースは術後CRPが低く、SIRSスコアも陰性となる印象が確かにあります。生命予後に麻酔が関わる部分としては、麻酔法もあるでしょうけども、その質にも左右されるのでしょう。

 

                            平田学



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