2015年07月
2015年07月13日
semiの泣きはじめ
講演会から引っ張ってこられる術中輸液の話としました。ある消化管手術例についての検討。前日夜からの手術当日まで全く水分を投与しなかった群(N), 輸液群(I), 経口補水群(O)に分けてみました。背景には差はなし。術前輸液は650mlほどで経口補水は800ml(OS-1)ほどでした。術中輸液量の差はN-S=200,
N-O=800mlとなり経口補水群で術中輸液をより減らせる傾向となりました。輸液が物理的機序によりに血管内に水を投与するのに対し、経口補水では消化管からの水の吸収と毛細血管内への移動が主にSGLTやNaチャンネルの働きに伴う生化学的機序に依存しているため, 生体調節性が良い結果なのでしょうか?よくわかりません。ただ素人のようなことをいいますが、私の施設でおこなっている経口補水では12時間かけて1000mlの水分投与しかしないのに、麻酔導入時には下手をすれば15分で同量の外液を有無を言わさず入れてしまう。”これじゃ体にいいわきゃないねー, わっかちゃいるけどやめられない”といったところで, 静脈系に対するshear stressははかりしれないかもしれません(私はperfusion indexを参考にしながら末梢が開きすぎればノルアドレナリンを積極的に使用し、導入時の急速なvolume overloadを軽減しています)。特に長時間高侵襲手術では術前ORTは周術期輸液管理の補助手段として有効で, 補液として考えれば, 吸収のためにある程度のNa濃度が必要ということでしょうか?これは多分ICU領域では昔から当たり前の話なのかもしれません(急性期をすぎれば、循環血液量を維持するために, 経口割合を増やしたほうが, 総投与水分量が減る)。
そういえば今年も気が付かないうちにセミが鳴き始めています。昆虫にとってはエルニーニョ関係なしですよね。もう夜が明けそうなので中途半端ですが, これにて終了したいと思います。セミの名前に免じお許しください。
平田学