2017年02月

2017年02月26日

そばにある味

 1年振りに母校に行ってきました。昨年はChanging Practice of Anesthesia in Fukui(CHANPAN)で同時期に訪福したのですが、その時は荒れた天気で、帰りの特急列車の運転が取りやめとなりました。仕方なく普通及び新快速列車を乗りついで帰洛しました。今回は非常に良い天気で、きれいな山並みを十分に堪能できました。雪はほとんど残っておらず、日本海側とは思えません。道路の融雪装置が仕事したげにしておりました。根雪という言葉はここ福井では死語になりつつあるのでしょうか?
 

 今回訪福した目的は、福井大学との交流プログラム策定の段取りのため。当院は京都府立医大のプログラムに属しており、両大学の交流を当院が先頭となって進めていこうとする主旨と理解しています。福井のS教授には以前から大変お世話になっています。その上今回の件もいろいろと無理を申し上げ、気持ちわるいなとおっしゃるかもしれませんが甘えさせていただいております。
 

 とんちんかんな私は手術室が新しい場所に移動していたのを認識していませんでした。現在は器材庫となっている旧手術室前に赴き、閉店ガラガラ状態に愕然としましたが、やっと新手術室に移ったことを思い出しました。そこはシン“手術室でした。さらにスマートになっており、ガラケー部長には驚きでした。数としては私がお世話になっていた6年前に比べると、34割増しの手術が行われていました。手術室レイアウトも斬新で横1列です。その中央対側にコントロールルームがあります。まるでバルチック艦隊を撃破した東郷平八郎元帥率いる連合艦隊がとった丁字戦法のようです。各部屋の麻酔器はエイシス、電子チャートはコーリンのアドバンスドタイプその周囲に術野モニターが配置され、まるで787のコックピットのようです。そしてコントロールルームがまたすばらしい。生理学的パラメータを含む生体情報、薬物動態シミュレーション情報、術野情報が一括表示、管理されており、こちらは巨大空港の管制塔といった感じです。若手の専攻医たちは当院の手術室との環境の違いに驚き、興味をもって飛び込んでくれるものと確信します。私も機会があればこの環境下で麻酔管理を行ってみたいと思っています。現在当施設では知識や経験則にもとづいた麻酔管理が主となっていますが、ここではその裏付けを行うことができるパラメータがリアルタイムで示されています。それらと突き合わせることにより、自分の考えを検証することが迅速に簡便にできます。この環境は、経験の少ない若手にとって、成長を飛躍的に早める大きな武器になると思います。
 

 そしてやはり福井はうまい酒、うまい肴。私は花垣が好きですが、他の銘柄もはずれがありません。酒がうまいのは米と水がうまいから。米は炊き立ての何もかけない白ご飯が一番うまい。そして水、僕は福井の水道水が一番うまいと思っています。このNO1の米とNO1の水を使うからカミッテル酒ができるのは当たり前です。肴は季節ごとに違いますが、冬はもちろん越前ガニ、これにはコメントさえありません。私の好きなのはだだみの天ぷら=タラの白子の天ぷら(ちなみに秋田でもタラの白子をだだみというそうですね)です。アツアツのクリーミーな濃厚な味わいが、辛口のひやとよくマッチします(このために痛風が痛くなるなら本望です、うそですやはり痛いのはイヤ)。春はイカ。越前漁港でとれたヤリイカの刺身は絶品。ホタルイカは富山だけではありません。越前岬沖のものはやや小さめですが、味が深い。夏はウニ。越前ウニは非常に貴重とのこと。ラッキョも夏のよいつまみです。ぼくは地物の天ぷらには目がありません。これだけで未来永劫飲み続けられます。秋はもちろん鮎。九頭竜川でとれた地鮎はもちろん塩焼きが最高。僕は卵入りが大好きです。竜つながりで黒龍、まだ初秋であれば冷で、寒くなってくれば熱燗で。鉄板です。
 

 この上そばがあるのです。私はもりそばが好きなのですが、今回は時間がなく無理でした。

固めのそばの風味の強い福井のそばも最強であると思っています。そばには梵でしょうか。

どうしてもそばが食べたかったため、かけそばですが、また駅そばしてみました。今庄そばの卵入りをかきこみました。木造の改札の近くで食べた30年以上前の味と全く同じでした。いつも思い出のそばにある味なのでしょうか。

 

     時代の潮流から隔絶され独自の進化を遂げた麻酔科医のこと。20年以上の経歴を

持つことが多い。全国に分布するが、都心部ではその発現頻度が減少している。

新しいデバイスの使用やシステムの運用が苦手で、若手から揶揄されることもある。

しかし緊急事態には特殊能力を発揮するため、危機管理上有用かつ必要である。

 

                          平田 学



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