2017年10月

2017年10月09日

秋眠暁を覚える。

 最近は23時には就眠し、6時に起床するという健全な就眠習慣がついておりました。が、本夜は3時に目が覚め、さらに冴えてしまい、東雲をみる時間となっていました。9月の周術期懇話会の際、PGDTについて話させていただいたのですが、よくよく考えると、その効果が何に起因するか、自身でほとんど理解していないのではないかという結論に達しました。わかっているかのように水は漏れるものと改訂スターリング式を持ち出してもったいぶって説明していましたが、これは血管内外の静水圧較差と膠質浸透圧較差に平均0.3mmHgのポジティブな差があることを示せば、難解な図を出さなくてもすんだと思われます。

その根本は血管内皮の生理学的および解剖学的特性。そうなるとやはりグリコカリックスの再考は必要。その凝血学的な特徴については詳しくありませんでしたが、GAGにはATⅢ結合部位があり、DIC惹起と進展に深くかかわっているようです。ということは、その分野の知識集積も必要。そしてリンパ系の役割。生理学の本には、間質からリンパ管経由で静脈系にもどる水は13000ml、ところが必要時には12000mlまで増えると書いてあります。この最大能力が発揮できれば死亡率を上げるであろう30004000mlの術中オーバーバランスでも問題ないはずです。否、術後の体重計は正直で、3kg以上増えているでしょう。リンパ系の機能が落ちるのは間質浮腫によって微小リンパ管の機能が落ちる(CVP上昇に伴う腎障害に似ている?)。そして炎症によりリンパ管内腔にも存在するグリコカリックスが障害されるのかもしれません。

  そういえば、緑膿菌が作るバイオフィルムにもグリコカリックスが含まれていたような気がします。単細胞と高等動物が同じ盾を用いながら鬩ぎ合っているとは。グリコカリックスは太古からの守り神なのかもしれません。

 

 

                  平田 学



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