2018年03月
2018年03月05日
新な武器
やっと、今週、masimoのRoot(TM)を導入できそうです。
皆さんは重症症例の迅速導入(RSI)で、導入中のSPO2の低下がないのにも関わらず、気管挿管後にPVCが頻発したりSTの変化を認めたりして肝を冷やしたことはないでしょうか?教科書通りの話ですが、SPO2の低下はSPO2の低下からかなり遅れます。Root(TM)では酸素化予備能指標を確認することができるため、RSI時の呼吸安全性のさらなる確保に貢献する可能性があると考えます。
また静脈麻酔と吸入麻酔時の鎮静差異について、研修医の先生に理解いただくのはなかなか難しい側面があるのですが、SedlineのDSA表示を参照することにより、視覚的に説明を行うことができると考えます。
もちろん興味深いPerioperative goal-directed therapy(PGDT)にも応用可能です。現状のPGDTプロトコールには抹消循環指標を含むものはあまりありません。抹消血管抵抗を用いる場合、中心静脈圧の測定が必要となりますが、そのためだけに侵襲的な中心静脈カテーテルの挿入は行えません。体血管圧に比し中心静脈圧は低いので、CVPの仮想値を用いSVRを算出するのも手ですが、正確とは言えません。Root(TM)では潅流指標(Pi)が表示されるので、これを末梢循環の指標とできる可能性があります。
さらに推定ヘモグロビン値、酸素含量が測定できることも”味噌”です。私たちが一般に行っているPGDTの”目標”は最も適切な心拍出量をあてていることが多いのですが、フロートラックシステム(TM)等のAPCOを測定できるシステムとRoot(TM)で測定できるパラメータを組み合わせることにより、より組織酸素代謝に反映されやすい酸素供給量を推定することができ、これをより精緻な目標とすることができると考えます。
RooT(TM)は新な武器となり、さらにきめの細かい周術期管理が可能になると思います。
平田 学