2018年04月

2018年04月15日

カン違い

 2年かかりましたが、やっと麻酔科外来開設にとりかかることができました。まだトライアルですが、PFM(patient flow management)の流れに合わせながら、拡大できればと思います。また、究極的には周術期管理への展開、そのなかにperioperative pain managementの実践や緩和医療への協力が可能となればさらにやりがいを感じることができるのではと考えます。

 血管内皮障害マーカーについてしっくりいかず、ぼちぼちと読んでいます。Journal of Clinical Cellular Immunologyから  Endothelium as A Part of Septic Multiple Organ Dysfunction Syndrome (Mods)- Is Endocan an Answer? エンドカンはendothelial cell specific moleculeESM-1と同じで、炎症下血管内皮細胞や脂肪細胞(この脂肪細胞でも産生されるというのが、また慢性炎症につながりそうなユニークな特徴に思えるのですが、きっと高脂血症やCKD等の慢性炎症病態に活用されるに違いない)で産生されるプロテオグリカンです。このペーパーでは多臓器不全時の血管障害マーカーとして重要視されており、重症度や予後と相関すると述べています。ただ迅速性についてはあまり言及しておらず、予後判定には役立ちそうだが、早期マーカーとしてどうなのかという疑念はあります。シンデカンがグリコカリックスに常態しているのに対し、エンドカンが炎症時に多く発現するというのも気になります。普通に考えて、血管内皮障害という病態を鑑みると、最初に起こるグリコカリックス障害に注目しなければならない。そうなると常態的構造物であるシンデカンのほうがグリコカリックスの早期障害マーカーとしてはふさわしいような気がします。

 まだ文献を読み深める必要性があります。ただエンドカンの脂肪細胞でも産生されるという性質は心くすぐられる要素になりそうと感じます。

 

 桜の季節も過ぎ、もう早夏到来の予感。古都は葵祭りを迎えますが、緑の勢いに負けず、背伸びしていきたいと思います。

 

                                            平田 学

 



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