2018年10月

2018年10月21日

刺激的な名古屋

 久しぶりに血液浄化という分野に触れてきました。名古屋で開催された第29回日本急性血液浄化学会学術集会です。できれば金曜から参加でき, 今回の目玉である集中治療領域講習にも参加したかったのですが業務の都合で断念しました。

 最も興味深く聴いたのは丸山先生のexosomesRAMPs。恥ずかしながら後者の概念はほとんど知りませんでしたし, 炎症制御においてのその役割についても無知でした。また前者については高校の授業でそういえば習ったなーという程度で、遠隔組織に炎症や血栓をきたすメディエータデリバリー担体として働いていることなど知りませんでした。

 新しい知見に触れるというのはかなり刺激的でしたが, 他にも名古屋には刺激的なものがありました。第一日赤のグループとご一緒させていただき, 味仙の台湾ラーメンを堪能させていただきました。周囲の方々はむせながら食しておられましたが, 私は普段からのデスソースによるプレコンにより平気でした。帰り際, かわいいひよこがコンコースにおったので3羽ほどつれて帰りました。

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 あれ2羽になっとる。どうもオートファジーにあったようです。

                                平田 学

 



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2018年10月20日

研修医勉強会 実習編

今週水曜に気道に関わる麻酔の知識の実習編として, シミュレーションセンター内デハンズオン形式の実習をおこない, 研修医の先生に参加してもらいました。

マッキントッシュ型ブレード使用の気管挿管, マックグラスそしてエアウェイスコープによる気管挿管。ほぼ初めて扱うデバイスに興味津々の様子でしたが, 一番飛びついてくれたのはダブルルーメンチューブでした。片肺換気のしくみを, シミュレーターを用いて, 実際に肺の動きを見せながら説明すると小学生のように感動していました。

 初めて声帯の観察を行ったのは確かスペインのガラシアだったと思います。残念ながらこのガラシアは声楽家で, 耳鼻科医でも麻酔科医でもありません。初めて直達鏡を用いて声門の観察をおこなったのはドイツのアルフレッド。そして1913年に光源付き直達喉頭鏡の開発, これがのちにミラー型喉頭鏡ブレードの開発に繋がっていくこととなります。ミラー型喉頭鏡ブレード開発後2, マッキントッシュ型喉頭鏡ブレードが開発されることとなり, 上顎歯の保護が図られることとなります。この一連の歴史話を研修医の先生に熱心に話していたのですが, 当の先生方は全く興味がないらしく, マックグラスの挿管にいそしんでおりました。

 次回はラボ形式で換気法の違いについて説明できればと思っています。

                      

                        平田 学

 

                         

 



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2018年10月12日

研修医勉強会

 現在, 救急科のA先生が, 麻酔科標榜医取得及び麻酔科技術修練のため研修されています。進路決定時, 麻酔科も選択肢の一つだったそうで, 麻酔科臨床に対する真摯さは尊敬に値するものがあります。外傷インターベンションのプロなのでもちろん手先は器用。2か月という短期間で, 通常リスクの心臓麻酔であれば, 専門医とともに担当していただけるレベルに達しました。区域麻酔にも興味があるそうで, しっかり経験をつんでいただき, 救急初療においての活用も将来的に考えていただければ, 患者さんにとってもメリットが非常にあると考えます。

研修といえば, 救命士養成過程の気管挿管講義に引き続き, 10/10に麻酔に関わる気道確保という題目で研修医勉強会をさせていただきました。呼吸生理については, 麻酔科路テーション後のICU研修にも関連しますので呼吸商の算出法についての復習。ラーメンを用いて具体的に説明しました。

呼吸商1
呼吸商2

 またSPO2が酸素代謝閾値として重要となる理由について概説。

酸素解離曲線
  実践編ではBURP法が効く解剖学的根拠について(あまり書いてありません)

喉頭解剖

 来週は喉頭鏡やマックグラス等のデバイスを用いてハンズオンバージョンを行う予定です。

                                                                          平田 学

 



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2018年10月04日

世界線を超えて

 やはり, 進みません。明日,救命士養成過程の本年,2回目講義(気管挿管)を行うのですが, その教材作りの下調べが脱線の嵐となってしまっています。

 私たちは毎日気管挿管あるいは声門上器具を用いた気道確保をしているのに, 上気道の解剖や神経性理調節機構等につきほとんど理解していない(というより私がですが)のではないでしょうか?そんな思いから, 上気道の解剖生理を考え始めると, sleep apneaの世界に引き込まれていまい、そこから脱却できなくなりました。上気道開存の絶妙なバランス(陰圧 vs 咽頭開大筋)がなんと精巧にコントロールされていることか。解剖実習以来ほとんど忘れてしまったような微小な筋がこんな重要な役割をしているとは!対立筋の絶妙なバランス, そしてその神経性調節, いとおしささえ感じます。あらためてヒトの体の精巧さには感嘆します。もう一度系統解剖を勉強できる機会があればと思います。

 BURPも普段よく行っている手技ですが, backwardてこの動きで舌骨体に付着している舌骨喉頭蓋靭帯が牽引し, 喉頭蓋が翻転すること。Upwardで喉頭面が披裂部を軸に直視軸方向に前転すること。Rightwardで喉頭展開時に喉頭を視野の良好な右方に移動させること。UpwardBackwardでは逆に喉頭蓋は倒れ, 喉頭面は後転し, 全く用をなさない。BURという順番が大切なことを再認識しました。これも舌骨と喉頭蓋の靭帯の重要性を認識していないと理解できません(この靭帯は正中を走るため, 喉頭展開時にブレードが喉頭蓋谷の正中を外れると喉頭蓋の翻転が悪くなる理由も理解できます)

 Sleep Apnea から咽頭部での気道狭窄の話に興味が移ってしまい, 今度は今使っている中咽頭エアウェイ(Tulip Airway)の特性や利点はどうか(なぜ覚醒時に咳嗽がほぼないのか等), 興味ある使用法はないかなど, また世界線を超えて異次元に入りこんでしまいました。結局, 4時に起きたにも関わらず, スライド作成は1枚も進まず, 早起きは2時間の損となってしまいました。しかしながらご褒美もあり, それはこんなに基礎医学分野は面白かったのかと認識でした。

                             平田 学



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