金曜抄読会セミナーとシャンパン

2013年09月22日

お金に変えられぬ価値

  3連休です。医局員?のみんなに悪いのですが私は3連休です。しかし3連休前からお付き合い?がありました。まず金曜日は19:30から救命センターICUの1周年記念パーティー。前回の記事にも書きましたが、同ICUが開設されて1周年だという意味ではなく、再編成後1年たったよという意味。場所は当科前部長の送別会にも使った八坂の某所。雰囲気も良いが前回の評判と同様料理が良かった。フレンチ風で味付けもあっさり、コースでリズムもメロディーもよくしゃれているといった感じ。お酒が入るとI-副院長、T救急部長、T心臓血管外科部長との話も弾み、いつものとおり病院の未来像についての熱い議論が始まります。ただ悲しいかないつも結論は出ません。お酒が進むにつれまずでてくる症候群は「まわれメリーゴランド症候群」。不思議と10分サイクル、同じ内容でディスカッションが膨らみ結論が出かかるが、その頃になると各員が最初の前提を忘れていまい、「で何だったっけ?」でリセット、次のサイクルが始まる。そのうち会話の双方向性は失われ「会議は踊る症候群」に陥る。私も含めそれぞれ、発言者は好き勝手な方向性にすすみ議論が全くかみ合わない。こうなるとお酒が入ってなければ普通だれかが怒り出すのであるが、お酒の力は偉大で、みんな自分の主張に酔っており、意見が各自に受け入れられたと完全に錯覚し全く満足そうです。そして「議論のサラダ」状態となり幕を閉じます。
 他の人たちはというと各自めいめい話に花が咲いており楽しそうな宴会となっていました。救命センターICUにとって何せすばらしいのはこの一年大きなな問題もなく これたこと。この要因はもちろんスタッフの努力、それを取りまとめた管理職の献身、当直業務を含め実診療に貢献した救命センター所属の各医師(救命センター所属ではなくても当直をしている先生もいる)、T副部長とT部長。そして手前味噌ではあるが、日勤帯をコントロールしてきたうちの医局員に負うところがおおきいと思われます。今後も多部門がしっかりとコミュニケーション(ノミニケーションを含め)をとりながらアグレッシブにセンター業務をすすめていく必要性があるでしょう。

 3連休をとっているなぞと書くと、他の先生に「先生のところは人がたくさんいていいね」 と必ずいわれます。全くそのとおりですが、これは当医局のスタッフや前任、前々任の部長が勝ち取り守ってきたもので、私としてはこの労務環境の良さは最も守っていく必要のあるものと考えています。
 よく「転職、麻酔科 医募集。年収3000万」というような広告をみます。これって本当に得ですか?その職務環境にもよるでしょう。残業が少なく、業務にやりがいがあるなら魅力的です。しかしうわさの域をでないところではありますがこういった例では、非常識なほどの拘束時間の上他の部門とのコミュニケーションがはかれないケースが大半で、よっぽど個人が強くないとやっていけないのが実情でしょう。まあひとそれぞれの考えはあるでしょう。ただ私の医局では整備された労務環境にこそ最上の付加価値があると(お金には変えられない価値があると)考える者が主流派でしょう。もちろん少し無理をしてでも経験を積みたい3、4年目は若干スタンスが違うでしょうが、彼らがあまりにオバーワークになって体調を崩さないように調整管理するのももちろん私の責務でしょう。
 私も10年ほど前は週に2回程度の当直をしながらそれと同じ数のオンコールをこなしていました。ノン-デューティー の日も長時間で気を使う麻酔管理をするのが常でした(CABGの後連絡時でAAAの麻酔管理をすることなどざらでした)。若かったので耐えられたのでしょうが、ときに体調を崩すこともありました。これを自分たちがやってきたんだから君たちも少しは我慢しなさいと押し付けることができますか?現在当直翌日は朝の業務補助を行ったあとは帰宅、オンコールに関しても深夜1時をまわるような場合は翌日の日常業務は免除し、自宅待機としています。これは医局員の健康に気を配ると同時に、当直明けや深夜業務明けのクオリティーの下がった状態で麻酔管理を患者さんのためしないというポリシーからです(現状では患者さんは当直明けだからといってその麻酔管理を断ることができないのが実情)。もちろん朝から通常の麻酔管理に加え多発緊急手術(同時に3件以上、これを私達は本丸炎上と呼んでいる)による麻酔管理を依頼されれば非常事態宣言となり話は別です。
  私もそういえば50歳が見えてきました。まだ子供も独立したわけではありません。いままでさんざん苦労を掛けてきた家族のためにはあと少なくとも15年はがんばらなければならないでしょう。 よく「医者は短命だから太く短くでいいんだよ」と仕事でも遊びでも無茶をする人がいますがどうでしょうか?統計学的にも医師は短命であることは立証されているそうですが、私としてはこのような"命を削って使命を全うする"というやり方には組したくありません。自分が健康なことで職務をふくめ自分がしたいことができるなら、また家族と楽しく過ごしていける時間をより長くできるなら、より長く社会に貢献できるなら臆病者といわれようともオーバーワークは避けたいし、部下にもそれを避けさせたいと思います。
 私達の施設では院内ICUがサージカルICUの役割を担っておりそこを麻酔科が管理しています。まあ部内でもいろいろな考えがあるでしょうが、私がもしここを管理する意義はなんですか?と聞かれたならば理由は2つ。患者さんにとっての最良の医療のため、もうひとつは主治医の負担を減らすため。同ICUは私個人的にはsemi-closed ICUだと考えています。主治医の意見もICU専従医の意見も反映できそれらを折衷調整し、方針決定できる。従って管理業務に関して当たり前だが、コンセンサスが得られた状態で、主治医不在でも治療をすすめることができます。ここが味噌だと思います。私には真似できませんが、外科医たちは"命を削って"手術をしている。もちろん手術が好きだからしているのではありますが、術後ICUにきたときにはふらふら。この人たちにさらにあれ指示してこれ指示してとは言いにくい。それこそ上述の話ではないがふらふらの外科医たちの後ろには家で待っている家族の姿が映っているわけです。早く帰してあげたいと思うのが心情でしょう?外科医は確かに手術してなんぼ。そうであればそのクオリティーをあげるため他の部分はサポートしてあげたい。こちらも人間なので、たまには手術時間が長くなってイライラすることはありますが、僕たちがサポートすることで彼らが切磋琢磨できるならお安い御用と思います。
 心臓血管外科のK先生、元気なのは知っています。だから臨時手術がないときくらい、深夜焼肉なぞせずおうちに帰って7時間ほどぐっすりねなさい。体をこわさないように!

                                    早寝早起き麻酔科医  平田学
  

mh5963ya at 04:09│Comments(0)

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