あめとムチ適財適所

2013年09月24日

対極に

   前に本丸炎上とお書きしました。これは中央手術室に次から次と緊急手術が申し込まれ息つく暇もない状況のこと。これを最初に言い始めたのは今はKF医科大学に属しているG君でした。よく「御家老本丸が大炎上です。是非とも援軍を」と言われたものでした。最近では中央に割ける人手が相対的に増えたため"大炎上"することは少なくなりましたが、それでも昔でいう"休火山"が噴火するかのごとくときおり大噴火がおこります。では当院でいう二の丸、三の丸はどこか?うちには周産期センターに手術室が一つ、また救命センター内にもう一つあります。これらがそれぞれ二の丸、三の丸といったところでしょうか?では二の丸、三の丸をふくめて敵に火を放たれたらどうするのか?ご安心あれ。当家には普段は目につかない忍者集団がいます。前日のオンコール(緊急手術対応者)、当日のオンコール、ICUの3枚目(最低救命センターICU担当1名、院内ICU担当1名いればICU業務は遂行可能)、前日のスーパーバイザー(麻酔管理総責任者で翌日の主業務は術後回診)。炎上下のスーパーバイザーは情報を正確に分析し、これらを状況に応じ適材適所に派遣、反撃を行わせるまるでイージス艦です。私たちにはその後方支援を力強く行ってくれる駆逐艦隊、手術室看護師およびMEをもっています。まさしく無敵艦隊です。このように私たちはいつなんどきおそってくるかもしれない有事に備えているのです。
 さて本丸といえば東京中央銀行の天守閣も大荒れでした。ただわたしにとって解せないのは中野頭取りの大和田に対する処分、そして出向を言い渡されたときの半沢の態度。まず大和田は迂回融資をおこないそれを妻のために私的 流用させ東京中央銀行に多大な損失を与えました。これは背任以外のなにものでもありません。その様な者に対し出向さえも認めないのは言語道断でしょう。普通なら懲戒解雇の後、銀行にとっての条件がゆるせば(全てを大和田の責任にすることができ、不祥事が明るみにでてトップの管理責任が問われる可能性がなければ)告発となると思います。最低限の降格として大和田グループをとりこむことはできても銀行内にしみついた悪習は結局払拭できず、つまるところ第二、第三の大和田をつくることになると思います。ここは巨悪の最上部をバッサリと切り、権力がどこに存在するかをしっかり認めさせたうえで下を懐柔するのがバランス良いやり方のように私は思います。半沢に対する処分は至極真っ当と思います。いくら正義があっても取締役会において良識ある上司の制止を振り切り他人からすると過剰にも思える(半沢にとっては至極当たり前のれべると考えられるが)復讐劇を演じるのは常識的ではないと思います。これに対して出向は真っ当でしょう(ドラマでは中野頭取の意図がほかにあるように見られていますが)。もっと納得できないのは左遷を言い渡されたと半沢の態度です。まるで中野頭取の命令に納得できないどころか、反抗するような顔つきになっていました。しかしかれのここまでの目的はなんだったのでしょうか?親父さんを社会的に殺されたことに対する復讐あるいは可能性は低いとおもいますが、大義をもって銀行を正すため?もし前者であるなら復讐さえ遂行されれば何の未練もないはず。わたしなら頭取の言葉に笑顔で深々と頭をさげ「いろいろありがとうございました。」と発したのち颯爽と退室するでしょう。もし後者であるなら悔しいけれど大和田に土下座をさせることなくリーガルな振る舞いにとどめたはずです。そのどちらでもないのが半沢たる所以なのかもししれませんが。
 半沢の裏番組としてNHKでは近代物理学にちなんだ科学番組をやっていました。大昔の相対性理論少年にとっては時間がかぶっていまい 非常に残念でしたが、また再放送でみたいと思います。この番組では現代物理学の粋を持ってすればいかなる事象も一つの数式で導かれることが強調されていました。ということは私達が扱う軽い吸入麻酔薬の気化から重いものの代表であるブラックホールの形成まで一元的に説明できるということでしょうか?こんがらがってきました。

   ブラックホールのように重い人物といわれたい麻酔科医    平田学 

mh5963ya at 21:16│Comments(0)

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